マイバイブル

こんにちは。
およそ三週間前から読み始めた森岡毅さんの「苦しかったときの話をしようか」をようやく読み切った。
感想を一言で言えば、森岡さんの話は共感の嵐であり、とても勇気づけられた。
それと同時にこれだけ自分の体験と学びをまとめた本がある森岡さんをうらやましく思った。
なので今回の記事は「苦しかったときの話をしようか」を読んで自分が大切にしたいと思ったり共感した価値観を自分の体験とセットにし、僕の「苦しかったときの話をしようか」にしようと思う。
自分が辛くなった時に読み返せるバイブスのようなものになればいいな。

自分の軸を決めろ

軸とは自分がキャリアの選択をするにおける判断基準となりうるもののことだ。それをはっきりさせなければ自分がやりたいと思えることなんて選べるはずもない。
そしてこの軸は人生で変わりえるということ受けれなければならない。
だから軸は、その時その時の価値観で決めていくしかないと森岡さんは言っている。

自分も高校から大学1年生までこれがわからず、つらかった。
大学進学のときに一応の形で結論はつけたものの、どこか自分をだましているような感覚があった。
そして森岡さんの言っていることは、この半年でよく実感したし去年K君(大学でできた仲間)にも同じことを言われた。
自分が忘れがちな考え方「bestよりbetter」と同じだが、初めから完璧な軸をつくることはできないし、変化しない価値観もない。常にアップデートされうるものだし、しなくてはならない。それを忘れないようにしよう。
そしてそのためには今自分が大切にいしていることはきちんと把握しておく必要がある。

そして今自分がキャリア(=人生)において大切にしたいと思える価値観は以下の6つがある。

  • 能動的に変化をすること

  • 多様な価値観を尊重すること

  • 論理的に思考を続けること

  • 全力で楽しみ、生きること

  • 目の前の人の幸せを願うこと

  • 可能性を信じること

これらは自分の中でどれも欠けてはならない必要条件であって、ないがしろにしたくないと思うものだ。
そしてこれは将来変化するかもしれない。変化の軌跡をみるためにもここに残しておく。

自分の強みとは

自分の強みはあなたの好きな行動の中にある、と森岡さんは言っている。
好きだと思えたということは、それが成功体験であるはずで、それすなわちあなたの特徴が良い方向へ万全に発揮されたものだと。
その好きな行動を分析していけば自分の中の数ある能力のうち得意であろう能力がみつかる。これは他人との比較ではなくあなたの中で相対的に秀でている能力である。この能力を磨けば他者とも勝負することができる。
つまり、自分の中の何かの能力を育てようと思ったとき、最も伸びやすく勝負しやすい能力は自分が好きな行動の中にあるから、そこから選べということだ。
森岡さんは弱みは努力をしても普通にしかならないが、強みは磨けば強力な武器となると言っているわけだ。

(これは以前K君が考案したWS「ダイメーシ」の工程の一つ、「自分から連想されるワードをブレストし自分をハッシュタグとして再定義する」をよりキャリアによせて体系的に整理したものだと感じた。これを独自に編み出してるK君はすごい。)

森岡さんはさらに、この強みを最大限生かすことのできる環境を自分で選択しなさいと言っている。
自分もいつしかの記事で書いたように、人の特徴というのは見方ひとつで長所にも短所にもなりえる。その自分の中で秀でている特徴を長所として見てくれるような環境にいければキャリアとしては成功だということだ。
逆に言えば短所として見られるような環境はキャリアとして失敗しているのではやく再選択をすべきだし、長所としてみてもらえるところはたくさんあるのでほとんどがキャリアとしては正解だ。
そして長所としてみてくれるような環境で自分の長所を磨き、他者とも勝負できるようなスキルにしていくべきだということだ。
ここでハッとさせられた言葉がある。
「キャリアにおいてたった一つの大正解を引こうとするな。失敗以外の正解を選べればよい。その環境の中で自分の長所を磨く努力を重ね成長することこそが大正解である。」
自分の中にはどこか、大正解の企業に入れば自分のスキルは磨かれていくと思っていた節があるように思う。
どこに行ったって、死に物狂いの努力あってこそなんだと認識を改めさせられた。

キャリアとは

そして森岡さんは自分の人生において自分の意志で決定することのできる変数は以下の三つしかないと言っている。

  • 自分の特徴の理解

  • それを磨く努力

  • それが発揮される環境の選択

これは自分も春から休学をしたり、寮をでて一人暮らしをしたりと実践知でとして蓄積されていて、森岡さんがきれいに言語化してくれたように感じた。
本書ではこの環境の再選択の難しさについて転職や自己保存欲求などと絡めながら書かれている。自分が以前に書いた記事とも同じような内容になっているので、自分の気づきに自信を持つことができた。

そして今の自分の考え方は、人生とキャリアの構築はほぼ同義となっている。キャリアなくして人生のライフイベントなしだ。
高校までは、仕事はお金が稼げればよくて趣味を充実させられる時間をしっかりとれれば幸せだと考えていた。しかし、休日を返上してバイトをした経験がそこまで辛くなかったこと(むしろ充実していると感じた)、自分が燃え上がらないことに時間を割くことを虚無に感じ始めたこと、自分のやりたいことで社会に価値を提供し対価をもらえる可能性を身近に感じた(実践している人に会った)ことなどから大きく変わった。
また自分の中に社会に価値を提供できるスキルが構築されているという実感があったうえで趣味を楽しむ方が、自分の中の趣味の価値が上がることがわかった。おかしな言い方かもしれないが、趣味をより趣味として楽しむ方法を知った。

資本家への道

前提:人の欲を土台とする資本主義は、自分の時間で稼ぐサラリーマンより人の時間で稼ぐ資本家のために作られたルールである。

資本家のように桁の多い個人資産を形成する方法としては創業者として自分の会社を興し企業価値を高め上場、もしくは第三者に売却して資産を獲得する方法と、業績が悪化した会社や企業価値を高めたいと思っている会社の株やストックオプションをもらって経営改善に参画し株の売却によって資産を得る方法とがある。森岡さんの有名な話、USJの経営再建は後者にあたる。

また森岡さんはこのあとの企業分析に関するところでこんなことを言っている。
「情報とは、データや事実などを集め知性を駆使して統合・推理をしたことによりできた付加価値である」
つまり情報とは、インプットによって得た情報をもとに仮説をつくりアウトプットしたものだということだ。
これは自分が最近読んだある人のnoteに書かれていた「仮説なきアウトプットはいらない」と一致する。そして自分に足りていないところでもある。

また森岡さんのモチベーションは知的好奇心だという。
自分の頭で考えた戦略を世の中に出して世界がどいう変わるのかを知りたいと。人生とは未知のものを求め自分の世界を広げる旅であると言っている。
これを読んだときに素直にうらやましいと感じた。
自分の考えて世の中に出したものが、社会をよい良い方向へもっていったり、いろんな効果が波状的に広がっていくのをみれるのはとても楽しいだろうなあ。

キャリアの目的は仮説

キャリアは戦略、道筋であるから目的地がないといけない。
その目的地は、軸と同じように今の価値観で仮決定する必要がある。
これを決定すると、早いうちからキャリアの積み立てを始められ一貫性が出るのと、自分の選択に一定の納得感を得ることができる。
これはまさに今の自分にも言えることで、少しづつ目的は見えてきている。
目的が見えてくることによって自分が残りの休学の時間の納得のいく使い方と、一貫性がでてくる選択ができるようになる。


本書の後半は森岡さんの体験談を交えた前半の主張の補強のように感じた。

最も苦しいときとは

森岡さんは人が最も苦しいのは、忙しいときや周囲からの評価が厳しい時ではなく、自分が自分の存在意義を見失うような状況になったときだという。

これは自分にも経験がある。
それは浪人経験だ。
好成績で中学受験を突破した自分は調子に乗って中学高校と遊びに遊び、完全に受験をなめたまま大学受験に突入し見事にすべて滑った。
なるべくしてなった浪人だったが人生において初めてまともに食らった挫折はプライドを粉々にした。
まるで人間社会の円環から外され、何物でもない存在になってしまった感覚は耐え難いものがあった。
友人や家族などのさまざまなものに支えられて乗り切ったが、もっとも大きなモチベショーンとなったのは高い目標とそれから逆算し綿密につくった計画表だったと思う。
自分の今の成績と理想の成績から教科ごとに割り振るリソースの割合を決め、センター直前までの計画をエクセルで30分刻みのスケジュールで作ったのを覚えている。
毎日夕食時にその日できた分、できなかった分を計画に反映し修正を繰り返した。
今思えばとても遠回りなことをしているが、自分は「とにかくやる」が苦手だった。今やっている勉強がいったいどこに向かっていて、それに対してベストに近い方法を選択できているという実感がないと不安で手につかなかった。
しかし、一度計画ができて回り始めると充実感とともに成績もついてくるようになった。成績がついてこれば初めは自己肯定感は上がらずとも自己効力感は上がる。何よりゴールまでの道筋と選んだ道が正解だと認識できたらモチベーションは上がってくる。

自分はついこの間も、向こう10カ月の予定がなく、目的がなく、似たような情緒にあったが、今は一応の目的と道筋の仮決定はできているつもりだ。
それを見失わないように今は進み、適宜更新していくしかない。

森岡さんはこのように自己評価が極端に下がることがあっても最後にはなんとかなると伝えている。そのためには、昨日の自分より成長したことを認識し、どん欲に学び続けることが大切だ。

自分が信じることのできない仕事

次に森岡さんの学びで覚えておこうと思ったことは、「自分が信じることができない仕事を周りに信じさせてやることは辛い。これを避けるには力と結果を持たなくてはならない」ということだ。本書の中では森岡さんがP&Gにいたときの体験が書かれていた。

影響を与えている人の規模や責任の重さはには差はあるが、自分もSW静岡で似たような体験をしている。この「信じれない事を真剣に考える」という心と頭が一致しない状態では考えるエネルギーがまったく湧いてこなかった。最終的にチームメンバーとの話し合いによって、歪んだ状態は避けることができたがもう二度と経験はしたくない。

森岡さんはこういった悪質なストレスをうみだすものを「後ろ向きな仕事」と呼び、これを避けるには結果を出す力のある人間にならなくてはいけないと言っている。力があれば勝てる戦いや大義ある戦いが選べるようになる。
そのための一切の妥協を許さない厳しい人になることを意識しているらしい。

不安とどう向き合うか

本書のこの章(第六章)は挑戦している者を勇気づる内容になって、僕が大好きな章だ。
不安は挑戦しているからこそ感じるものだ。不安を感じているとき、それと同時に目の前に挑戦によって得られる経験価値があるのだから上手に向き合おう、何も恐れるなという内容だ。とても自分の言葉で森岡さんの熱い気持ちをまとめることはできないので是非読んでみてほしい。
自分に不安や緊張といったストレスとの向き合い方を教えてくれたのは、中学高校で経験した剣道部だったと思う。
3分ほどの試合時間の中での3本勝負。およそ10m四方のフィールドで相手の殺意にもにたプレッシャーと会場の熱気を一身に受けながら戦う。
もう二度と経験したくないが、自分の糧になってくれているのは間違いない。

全体を通して

この本はキャリアを考え、道筋を立てるための一つの基準にするのにとても参考になると思う。一貫して論理性が貫かれているし、森岡さんが常に確率を軸に考えられているのがわかった。
本書の初めにも書かれているが、自分のことを知って道筋を仮で決めるのは早ければ早いほど良い。
さあ、自分も目標を仮決定して進まなくてはならない。
チャレンジを続けよう。


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