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【ウクライナ情勢:考察】歴史修正主義は起きて当たり前だと、現実の、現代の戦争が起きて痛感した。

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 作者はフリーターであり、歴史研究家でもなければ国際政治の専門家でもありません。素人の一考察にすぎないと心得てお読みください。 

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 国連安全保障理事会は4日、緊急の公開会合を開いた。ザポロジエ原子力発電所をロシアが占拠しての緊急の開催だった。

 ロシア政府のネベンジャ国連大使は「ザポロジエ原子力発電所に火をつけたのは、ウクライナ側だった」と主張した。確かに、ウクライナのゼレンスキー大統領は「ロシアは原子力発電所を攻撃した、歴史上初めての国となった」と世界中にメッセージを発信した。ロシア政府側は『ロシアを歴史上類を見ない悪者にして、世界中からより一層孤立させるためのプロパガンダだ』という主張である。

 一方で、ウクライナのキスリツァ国連大使はNHK NEWS7で報道された通り「うそをつくな!」とロシア政府側を一喝した。ザポロジエ原子力発電所を攻撃し、火をつけたのは当然ロシア軍側という考えだ。占拠したのはロシア軍側であり、当然攻撃を仕掛けたのもロシア軍側だという主張である。

 ここで問題だ。ザポロジエ原子力発電所から火が上がっているのは報道で明白なのだが、その火が着火した瞬間をとらえた映像や証拠は残っているのであろうか──答えはNOである。つい先日行われた事件においても戦争でお互いの主張が交錯する中で、情報機器媒体を誰もが持ち合わせるこの現代においても、決定的な証拠というのは報道されることはないのだ。つい先日行われた、歴史上初めての原子力発電所への攻撃について、真実を語れるものは誰もいないのだ。

 この事件は現代である、どころかつい先日である。そこで既に歴史修正ともとれる発言がどちらかがしているのである。戦争が終わってみて、歴史上初めて原子力発電所が攻撃され、火がついたのはどちらだったのかの真相がわかるのか。わかるはずがない。ということは勝者が語る歴史が真実の歴史となるのだろうか。それとも傍観している周辺国か、それとも国際世論か、それとも歴史研究家を名乗る人々なのだろうか、証拠の残っていない歴史は、一体だれが真実を決めるのか。人の数だけ真実がある。今回の国連会合でわかったことは歴史修正主義とは、自分の都合の良い歴史を創ることは、情報戦の戦争において必要なことであり、技術の進んだ現代であっても起こりえるということだ。ましてや、確定的な資料の残っていない過去の歴史上の戦争において、双方の意見が食い違うということなどは容易に起こりえるということだ。

 数年後の教科書には『世界で初めて原子力発電所が攻撃され火災が起き世界中の緊張が高まった』と書かれるのか。そこの主語はロシアとなるのか。それとも『ウクライナが自分から火をつけて、ロシアに対し情報戦を行った』と書かれるのか。日本の場合、前者の可能性が高いように思われる。理由はシンプルで分かりやすいからだ。

 真実は分からない。しかし歴史は定まっていく。そして歴史修正は人の数だけ出てくるだろう。歴史を決めるのは真実ではない可能性が高い。そのことを、今回の歴史上初めての原子力発電所への攻撃、そして火災から学んだ。
 

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