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高学力者は、どうして医学部を選択できないのか?

学力が高くても、選択肢が広がるわけではない

「学力が高ければ選択肢が広がる」という話は人口に膾炙しているのだが、実は正しくない。
受験生は、必ず、「自分が合格できる範囲内で、入試難易度が最も高い学校」を選んでしまうからだ。
これは、小中高と入試を念頭に置いた勉強を続けてきた結果、身についた性質なので、一朝一夕には変更できない。

入試難易度と進学した場合の利益とは、必ずしも一致しない。

ここのnoteで盛んに議論されている、「東大と医学部はどっちが有利か」論争も、「医学部が有利に決まっているのに、どうして高学力者は医学部に入ろうとしないのか」という問題が根底にある。
東大京大より入試難易度が低い、私立医学部や地方国立医学部に行くのは、高学力者のプライドが許さないのである。
とくに、首都圏居住者だと、地方国立進学では、「都落ち感覚」がつきまとう。難関入試をクリアした結果が、聞いたこともない土地で、地元以外では誰も知らないショボい大学に6年通学となると、やる気がなくなること夥しい。
周囲が無理に、「こっちが有利なんだから」と不本意進学をさせると、中途退学、再受験とかいったことになりかねない。

受験生が、「有利な進学ではなくて難易度の高い進学をしてしまう」行動の歪みは、模擬試験成績と、そこから算出される入試難易度をベンチマークにして学習意欲をドライブしてきた報いである。だから、入試直前とか直後では訂正できないのだ。

「入試難易度は低くても有利な進学」をさせるには、何年も時間をかけて、翻意を促すプログラムが必要だろう。たとえば、一流大学卒でも、苦しい生活をしている人とか、地方国立医学部とか、私立医学部卒でも、裕福な暮らしをしているお医者さんと接触させるとかですね。

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