『Teem Geek』を読んで

井野です。バーチャルな会社でディレクターとか色々やっています。
表題の『Team Geek』をオススメされたので読んでみました。
Tech 的な部分は省いて、本書の概要と感じたことをつらつら書きます。

ソフトウェア開発はチームスポーツである。
一人で仕事をしていては数百万人のユーザを喜ばせる事はできない。

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本書の概要

「Google のギークたちはいかにしてチームを作るのか」
サブタイトルにも書いてあるとおり、本書では何かしらプロダクトを作っているギーク達に向けて、チーム文化の重要性と良いチームを作るための Tips が筆者の実体験を元に散りばめられています。

※ギークとは所謂「ITオタク」のこと。

ギーク達に向けてと言いましたが、所謂 Biz 側にいる人にも共感できる部分が多く(僕自身もギークではないですが)、Tipsの本質的な部分は誰でも応用が効くのでギークでなくとも読む価値があります。

チームの重要性

まず、本書のテーマにもなっているチームの重要性について。
なぜチームというものがあるのか。チームで仕事をすれば単純に人数が増えるので、タスクを分散でき効率が上がるから?
それ以外にも重要な事があります。

一人で作業するのはリスキーだ。
自分が正しい方向に向かっているのか、無を生み出していないか、一人では分からない。作業を分担しよう。早い段階で、高速に、何度も失敗しよう。

チームで物事を進めることで高速にフィードバックループを回せる。

書いてあるとおり、一人では「正しい方向に向かっているか分からない」のです。単にタスクを分散するのではなく、自分の作業に対してフィードバックをもらい、早い段階で自分・チーム全体の軌道修正を行うためにチームというものは存在します。

ドリームチームを作ろう

では、より良いチーム(ドリームチーム)を作るにはどうすれば良いのか?
本書では一言「他人とうまくやろう」と書かれています。

それはそうだろう。と突っ込みたくなりますが、案外他人とうまくやるのは難しいものです。時には自分と合わない人とも、チームを組んで仕事をしなければいけません。

そんな時忘れてはいけないのは【謙虚、尊敬、信頼】の原則に基づきコミュニケーションを取り、チームにもその文化を馴染ませることです。

あらゆる人間関係の衝突は、謙虚、尊敬、信頼の欠如が原因だ。
ドリームチームを創るには、謙虚(Humility)、尊敬(Respect)、信頼(Trust)の頭文字をとってHRT(ハート)をチームの文化として醸成することが重要だ。

小さなことで戦争をしていないか?
自分のスキルに謙虚になれているか?
メンバーに信頼を持ち、批判をちゃんと受け入れられているか?
メンバーにリスペクトを持ち、批判できているか?
「誰か」のアウトプットではなく、「誰か」自身を批判していないか?

重要なのは、【謙虚、尊敬、信頼】の原則です。

影響を受けやすくなれば、影響を与えやすくなる。
弱みを見せれば、強いひとだと思われる。
自分の間違いや能力不足を認めて、他人の意見を信頼すれば、自然に周りの人間から尊敬される。

この原則を元にコミュニケーションを取ると、周りには自然と同じように【謙虚、尊敬、信頼】の原則を守り、健全で安心できるチームを作りたい、と思っているメンバーが集まってきます。

そうなれば、ドリームチームの完成です!

サーヴァントリーダーになろう

さて、ついにドリームチームが完成して、チームの舵取りも自分が行うことになった時にも【謙虚、尊敬、信頼】の原則を忘れてはなりません。

初めてリーダーやマネージャーになった人が陥りがちなのが、メンバーを「管理」しようとすることです。

前時代的な「マネージャー」とは、ただ労働者を管理するだけだった。
労働者の仕事内容も単純なもので、2,3日もあれば誰でもできるような仕事をするだけだった。そんな労働者を管理するのが所謂前時代的な「マネージャー」である。

プロダクト開発とは、2,3日もあれば誰でもできるようになる内容ではありません。メンバーは各々考えて仕事をするし、もちろん単純作業でもないです。

チームに奉仕するサーヴァントリーダーとして、【謙虚、尊敬、信頼】の原則を意識し、メンバーを信頼してポジティブなプレッシャーを与えることがリーダーの役割です。

リーダーシップパターン

ここで本書に書かれている、良いリーダーシップパターンを紹介します。

エゴをなくす
-> 失敗したらすぐに謝る。建設的に批判する。これだけ。

禅マスターになる
-> 懐疑的な言葉は慎もう。自分の考えを伝えて平静を保とう。
-> 常に答えを持っている必要はない。良い相談役になろう。

触媒になる
-> 多くの場合、適切な答えを知っているより、適切な人間を知っている方が有益である。

目標を明確にする
-> 目指すべき場所を適切に設定すれば、チームは勝手に走ってくれる。

正直になる
-> いいところも悪いところも、ぼやかさず伝えよう。
(【謙虚、尊敬、信頼】の原則を忘れずに。)

チームの幸せを追い求める
-> メンバーの幸せのために、奉仕しよう。

上記のリーダーシップパターンを忘れず、良きリーダーとしてチームを牽引していきたいものです。

有害な人に対処しよう

ドリームチームを作れたところで、それを(意図せず)邪魔してくる人もいます。それを本書ではわかりやすく「有害な人」と名付けています。

※あまりいい表現ではないですが、あくまでもわかりやすくするためです。

有害な人は、なかなか姿を表しません。チームにとって好ましくない振る舞いをする人は大抵、それが悪いことだと気づいていない。つまりは【謙虚、尊敬、信頼】が欠けているのです。

本書では有害な人を見つけるために、特徴を列挙しています。

・他人の時間を尊重しない
・個人のエゴが強い
・合意の決定を受け入れられない
・異なる視点の意見に耳を傾けない
・妥協できない(完璧主義)

どうでしょうか。周りに上記の特徴を持った人はいますか?
ではこのような人たちに、どのように対処したら良いのでしょうか?

ここでも、【謙虚、尊敬、信頼】の原則を忘れてはいけません。
その人自身を追い出すのではなく、原因となっている「振る舞い」を追い出す努力をする。

単にその人を否定してしまったら、それこそ「有害な人」です!

オフィスの政治家に気をつけよう

この項は本書を読んでいて割と印象に残っているので、そのまま引用します。

オフィスの政治家はひと目見ただけでは分からない。
最初はとても友好的だからだ。人間関係を匠に扱うのである。特に上司の扱いが上手く、自分の昇進のために同僚や部下を活用する。
すぐに他人のせいにするし、隙あらば全てを自分の手柄にしようとする。
攻撃的な感じはしない。印象を良くするために、こちらの聞きたいことを教えてくれる。
しかし、君を利用したり操作したりできないとわかったら、驚異とみなして無視したり攻撃してきたりする。
影響力のある人になろうとしているのではなく、影響力のある人を探そうとしているのである。こんな人には近づかないのが一番である。

なるほどな、と思いつつ、近づかないのもそうですが、うまくチームに引き入れ【謙虚、尊敬、信頼】の文化を根付かせることができれば、とても心強いメンバーにもなり得ます。

また、自分自身がオフィスの政治家にならないよう、気をつけないといけないな、とも感じました。

組織を操作する

ここまでは
・チームの重要性
・ドリームチームを作る方法
・サーヴァントリーダーとしてチームに奉仕する重要性
・良いリーダシップ
・有害な人やオフィスの政治家への対抗策
を学んできました。

これらを実践すればチームが「うまくいく」はずですが、チームが所属する組織がうまくいっていないと(機能不全だと)仕事は効率的に進みません。

チームを守るため組織を操作し、自分が居心地のいい環境を作りたいものですが、会社にもルールがあり、ぶち壊して良いものとそうでないものがあります。

道がないのであれば道を作る。多くの人が賛同しているアイデアであれば、否定するのは難しい。安全なポジションまで昇進してしまうのも、居心地がいい組織を創るショートカットになる。

ある程度は組織はそういうものだと認めて、自分の仕事に利用できる仕組みを探したり作ったりすることが大切です。

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