腫瘍熱

今日は腫瘍熱について勉強します。

がん患者の発熱は、感染症をはじめ中枢神経転移、治療関連、血管系疾患など、いくつもの要因が考えられます。がん患者の発熱の5~27%を占め、急速に腫瘍が増大する場合や、転移部位が多いほど起こりやすいと言われています。ちなみに進行がん患者では40~80%で生じます。

発生機序は不明な点も多いですが、サイトカインが血流により視床下部近傍の内皮細胞に運ばれ、PGE2産生誘導などが起こり最終的に熱放散抑制と熱産生促進により発熱に至ると考えられています。
かなり機序は省略したので、わかりにくかったらごめんなさい。

腫瘍熱の診断基準や鑑別は有名な論文があるのでそちらを参考にしてください。
⇒Support Care Cancer. 2005 Nov;13(11):870-7. Epub 2005 Apr 29.
PMID: 15864658

腫瘍熱への対症療法として、NSAIDsが有効な手段とされており、慣習的にはナプロキセンが選択されています。しかし、他のNSAIDsと比較して優位性が示されているわけではないそうです。プロピオン酸系のNSAIDsでは有効とする報告が多いそうなので、腫瘍熱に対する第一選択薬としてナプロキセンが位置付けられていますが、別にナプロキセンにこだわる必要はなさそうにも思えます。
僕が病棟などでの実体験があればよかったのですが、絶賛中央部門なので勉強したこと以外はわかりません。

また、NSAIDs投与でも十分な腫瘍熱制御ができない場合や腎機能障害・消化性潰瘍既往等でNSAIDsが使用しづらい場合、リンパ系悪性腫瘍による腫瘍熱の場合はコルチコステロイド投与を検討するのもありだそうです。
コルチコステロイドを投与するならば感染症による発熱をしっかりと除外しないといけないような気がするので、発熱の原因をしっかりと考えてから治療のアプローチをしないとだめですよね。当たり前だけど。

ナプロキセンについてお話したかったけど、勉強していくうちに思ったのは

ステロイドすげー!!です。

以上。