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地方公務員が考えるべきこと 第1回 自動運転がコンパクトシティを不要にする?

 コンパクトシティの推進は、多くの自治体で重要課題になっています。国は「立地適正化計画」の策定を自治体に求め、「コンパクト・アンド・ネットワーク」をコンセプトとして長期的な取り組みが始まりつつあります。
 コンパクトシティとは、端的に言えばこれまでの無秩序な郊外開発による都市の膨張が人口減少時代には持続不可能なため、中心部に都市機能を集約させようとするものです。公共サービスのコスト低減を図るとともに、高齢者の移動を容易にします
 現在、高齢者の地域内での移動手段は自動車かバスになるでしょう。しかし、高齢者が交通事故の加害者・被害者になっていることが注目されています。もちろん一口に高齢者といっても十分安全に運転できる方も多くいらっしゃいますが、運転免許証の自主返納を促す自治体もあります。返納に応じた場合にはコミュニティバスの運賃負担が一定期間免除されるなどの支援も自治体によって行われていますが、やはり自家用車と比較すれば利便性は低下します。家族の協力も必要になれば、自主返納に躊躇してしまうこともあるでしょう。
 このように、高齢者の移動手段の確保は高齢化と人口減少の進展で、ますます大きな課題となってきます。コンパクトシティの推進は、できるだけ徒歩の範囲で生活できる都市をつくろうとするものですから、この問題にも当然関わってきます。
 自動運転の普及は、この問題への新たな解決手段として注目されます。特定の条件下で完全に自動運転ができる「レベル4」は2025年頃に実用化されると言われています。運転手が不要になるので、高齢者でも安心ですし家族の協力も不要になります。もちろん実用化されても当初は高価格でしょうから、すぐに誰もが所有できるわけではないでしょう。しかし、量産などで価格が下がってきますし、コミュニティ単位でシェアリングすることもできるのではないでしょうか。
 ちょっとしたコスト計算をしてみましょう。最近、カーシェアが普及していますが、おおよその料金は1時間1,000円程度です。週に2回、2時間使うと毎月20,000円くらいの費用になります。車を購入すれば諸費用も含めてカーシェアの2倍はかかりますので、大まかなイメージとしては自動運転車の価格が2倍であっても、シェアリングの料金は所有とそん色ないのではないでしょうか。友人と出かける時はコストもシェアできるので、さらに安くなると思います。
 どこまでリアルなイメージか分かりませんが、自動運転で移動が容易になれば、コンパクトシティの推進が不要になるかもしれない、とさえ思います。もちろん、コンパクトシティ推進の意義は他にもあります。都市のスポンジ化によって上下水道などのインフラ維持管理が成り立たなくなれば、料金を大幅に上げるかコンパクトシティを進めるしかありません。こうした問題は確かにありますが、移動に関して言えば、今や買い物も通販で何でも手に入りますし、オンラインでのコミュニケーションにも慣れてきました。対面、現物が良い場面ももちろんありますが、すべてがそうでなければならない、ということはありません。むしろ、オンラインだからこそ活動の幅が広がる面もあると思います(先日、私はVR機器でベルサイユ宮殿を訪れました!初フランス旅行です!)。
 これからも新たな移動手段が普及し、活動領域も広がってくるでしょう。
それだけでコンパクトシティの推進が不要になるとは断言しませんが、それくらいのインパクトのある変化がこれから起きてくると思います。

 では、コンパクトシティの必要性をどう考えれば良いでしょうか。それは、私たちが将来、どのような暮らしを求めるのかを常に考え、そのための手段として何をしなければならないかを見きわめることが必要です。コンパクトシティの推進も、その手段として妥当かどうかを問い続けなければならないと思います。

 今回は初めての投稿になりますが、やや極端な議論になったかもしれません。「その通り!」「全然違う」どのような反応であっても、皆さんの考えるきっかけになれば、幸いです。

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