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老舗の喫茶店みたいに歳を重ねたい

下北沢か高円寺か。
古着好きの間で永遠のテーマだ。

わたしは圧倒的に下北で買うことが多い。
けど、高円寺へたまに繰り出すのも好き。

高円寺は、尖った店ばかりで毎度発見があるからだ。
似たような服を置いてる店があまりなく、個性派揃いである。

下北が10代〜20代前半なら、高円寺は30代以上と例えたい。

そんな高円寺は、古着だけでなく喫茶店もコンセプトがしっかりしている。

今日訪問した「ネルケン」は世界観が完璧な老舗の音楽喫茶だ。

ネルケンは、古着屋の連なる高円寺パル商店街をひとつ曲がった通りにある。
といえばすぐ辿りつくと思えるが、実際はかくれんぼの達人。
店の前に植木が茂っていて、最初は気づかなかった。

さらに、店内の音楽がドアの外に漏れている。
これは、よき音楽を楽しめそう。期待大。

店に入ると、「創業69年おめでとう」と花束が飾られていた。
ろ、69年!?
うちのおとんとおかんよりも先輩である。
入店と同時に、圧倒されてしまう。

クラシック喫茶なので、私語厳禁の静かな空間を想像していたが、思いのほかライトな雰囲気。
お客もおひとりと二人組が半々で、会話も小声だが楽しんでいる。
よかった、これなら気兼ねなく過ごせそう。

メニューは、ドリンクが中心。
コーヒー、ティーの他レモネードやクリームソーダもあるのがみんなに優しい。
食事は、三種ほどあるトーストのみ。

アイスコーヒーと、小腹が空いていたのでバタートーストをオーダーしよう。

待ってる間に、店内を見渡すと改めて、独特の世界観だと感じる。

赤いベルベッドのソファを隠すように、各席木の柱が建つ。
おかげで前後のお客の視線が気にならず、個室の気分で過ごせた。
おひとり様も過ごしやすいための配慮なのかもしれない。

アイスコーヒー¥580 バタートースト¥300

・アイスコーヒー
甘味を入れるか尋ねられ迷ったけど、入れてよかった。歩きつかれた体に沁みわたるぅ。

・バタートースト
焼き具合が完璧。バターもほどよい。
トーストって、喫茶店だと家よりおいしく感じるのはなぜなんだろう。

絶えず流れるクラシックを聞いていると、元吹奏楽部の血が騒いでしまう。
全国大会をめざして、中高の六年間、全てを捧げたといっても過言じゃない。
女子特有のゴタゴタに揉まれたし、講師に今なら問題になりそうな叱責もされた。
でも今思えばいい思い出......にはなっていない。
走馬灯のようにいろいろ思い出し、ちょっぴり泣きそうな心持ちに。

とはいえ、創業69年のネルケンとは比べ物にならないな。
茶色く年季の入った壁に、刻まれた歴史の偉大さを感じる。
この場所で何人ものお客を迎え、見守り、空間を提供してきたんだろう。
きっとこの店からすれば、25歳のわたしなどまだお子ちゃま。
まだまだこれから、喫茶店のようにかっこよく歳を重ねていきたい。

自分の未熟さ改めて気づき、一年のおわりにふさわしい喫茶店巡りになったとさ。

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