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スパイダルコはいいナイフ

スパイダルコのナイフ、大学山岳部時代に気に入って使っていたけれど、どこかの山でなくしてしまって20数年、二度目の購入です。
購入したのは エンデューラ4 ZOME グリーン というモデル。

スパイダルコは親指の腹を当てて片手で開くことができるサムホールが特徴の折りたたみナイフ。

ブレードに空いた丸い穴がサムホール

見た目はちょっと攻撃的な印象ですが、とても使い勝手が良く、汎用的に使えるナイフです。

軽量コンパクト

厚みはハンドル部で11mmと薄く、折りたたんだ状態で全長127mmと手のひらに収まるサイズ。ハンドルが樹脂製(ガラス繊維強化ナイロン)ということもあり重量は94gと軽い。この軽量コンパクトさは山道具としては大変ナイス。クリップでズボンに挿していても邪魔にならないので、必要な時にサッと手に取って使える。

操作性が良い

ポケットからスッと取り出し、サムホールに親指をかけて片手でスパっとブレードを開く操作は本当に気持ちよくて便利。ロック解除はグリップ背中にあるバックロックを押し込む。畳む時は両手操作が基本だけれど、片手でも畳める。

ハンドルがこれだけ薄いと普通は握りにくくなるものだけれど、スパイダルコはとても握りやすい。ハンドルのデザインは一見、奇をてらった形に見えるかもしれないけれど、どんな持ち方をしても違和感なく握れる、とても実用的なデザインであることが分かる。

ブレードの特徴

ブレードの厚みは一番厚いところで2.9mm。叩き切るようなハードな使い方には向かないけれど、細い枝を払うくらいはできる。この厚みで背中から刃先にかけてフルフラットで鋭角に薄められている。実はよく見ると単純な平面ではなくて、切先に向かって緩やかに薄められているので意外と複雑な三次元形状になっています。切先(ポイント)は鋭い形状になっているので、ペティナイフに近い感覚で使える。袋を開けたり、食材を切ったりといった、登山やアウトドアでよくあるシーンで便利に使えますね。

鋼材

ブレードの鋼材はVG10(V金10号)。これは福井の武生特殊鋼材㈱で作られているステンレス刃物鋼。ちょっと良いステンレスの包丁やナイフによく採用されている人気の鋼材です。最近のステンレス鋼にはもっと硬くて切れ味に優れる粉末冶金鋼があるけれど、硬いがゆえに研ぎ直しが大変でかつ高価。私は自分で研ぎ直したり、自分なりの刃付けをして遊ぶので、VG10が適当かなと。

ちなみにスパイダルコでは最近サビにくさに特化したH1やH2という鋼材があるけれど、VG10もステンレスで普通にサビにくいし、切れ味はVG10の方が良いらしいので、やはりVG10がいい。

ハンドルの材質

ハンドル材はガラス繊維入りのナイロン樹脂。デュポン社の商品名でザイテルと呼ばれたりしますが、一般名称はナイロンですかね。G.サカイの方から話を聞きましたが、開発当初はこの材質も相当試行錯誤をしたそうです。薄いハンドルで強度を出すためにはガラス繊維の含有率を上げたいところが、上げ過ぎると見た目が劣化したようになってしまうので、ちょうどよい妥協点を見つけるのに苦労したそうです。狙った寸法で歪みなく成型するのもそう簡単ではなく、色々なノウハウがあるかと。ただ一度材料と成型条件が決まってしまえば安く大量に作れるので、リーズナブルさに相当効いているはず。

作りがいい

スパイダルコはアメリカのブランドだけれど、製造は外部委託。スパイダルコの要求に応えられる製造業者がアメリカ国内に見つからず、実はそのほとんどが日本の関市にあるガーバー・サカイ社に委託されていることはナイフ好きには有名な話。(実は今回、ガーバー・サカイ社の実店舗に訪問して購入しました。)昔、初めてスパイダルコのナイフを手にした時、その精密な作りに驚き、ブレードに刻印された「SEKI-CITY JAPAN」を見て驚き、納得したことは今でもよく覚えています。

「SEKI-CITY JAPAN」の刻印

折りたたみ機構はガタなくスムースに動き、展開してパチンとロックがかかれば確実に固定され、何の心配もなくガシガシ使える。
刃以外のエッジ部は触れても痛みを感じない最小限の面取りが施されている。ここまでよくできているのは、ものづくりに変態的なこだわりを注ぎ込む日本人の気質がなせる技かと。

リーズナブル

ナイフの価格は数千円から数万円オーバーまでピンキリ。このナイフは1万7千円で購入しましたが、スパイダルコはだいたい1~2万円のミドルレンジ。この価格帯のナイフとしては鋼材も良いし、作りもとても良いので、だいぶリーズナブルだと思います。質実剛健。

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