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留学体験記(18) in USA

*Thomas Jefferson University Summer Program
留学年次 5年
2019/8/16~2019/8/23
氏名:飯村太朗

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夏季休暇を活用し、トマスジェファーソン大学(TJU)にて約1週間の研修に参加しました。病院では総合内科とERの病棟や呼吸器内科、小児科、家庭医療の外来を見学し、医療アクセスが困難な患者のための無償の診療所も訪問することができました。いくつかの講義を受ける機会もあり、TJUにおけるInterProfessional Educationの実践やカリキュラム改革といった医学教育に関する内容や、聴診の手技や患者が受け入れがたい事実の伝え方といった臨床的な講義、そしてVolunteerismという日本の医学部では学ぶ機会のないトピックについてもお話を伺いました。また、教員や現地の学生、滞在した寮で一緒になった他国からの留学生との交流からも、多くを学ぶことができました。

アメリカの病院を訪れるのは私にとって初めての機会でしたが、様々なシーンで多様性の国であることを実感することができました。人種や宗教が異なり、眼に見える形で「違っている」患者を、慣れた様子で対応していく医師の姿を見ながら、比較的均質な患者しか診ることの無い日本の医療の特殊性を再認識しました。医学的な知識に関しては、聴診手技の講義や現場での医師とのやり取りの中で、日本で学んだ内容が実際に通用することを体感でき、今後の日本での学習へのモチベーションとなりました。

深く印象に残ったことを2つ挙げると、1つ目は日米の医学教育の質的な差異です。米国が4年制のMedcal school方式である事を考慮した上でも、見習うべき点の多い優れたカリキュラムであると感じられました。基礎医学に関してはサイレージ思考に陥ることを避けるため、解剖学や生理学を独立して学ぶのではなく、診療科別に解剖、生理、生化学等を学べるようになっていました。また、従来の講義重視のカリキュラムから小グループでの学習に重きを置くように改革が行われていましたが、それに伴う人員増に対応するために個別のインセンティブを教員に与えたり、場合によっては解雇も含めて対応したという話を聞いて、日本で形だけそのまま適応してもうまく運用できないかもしれない、と感じました。カリキュラム策定にあたっては、医師ではなく教育学の修士を持った専門家も参画していてる点も、質の高い教育を提供できる要因の一つであると思います。

もう一つの印象深かった事は、日本ではあまり意識することの無い、ボランティアリズムの精神を体感できたことです。大学の学生や医師による運営されている、医療へのアクセスが困難に人たちのために無償の診療を提供する施設を訪問しました。活動に参加しているすべての人たちから感じられる高潔な精神に触れられたことも貴重な経験でしたし、診療所を訪れる患者もそういった人たちを信頼しており、医療の根源的なあるべき姿を垣間見れたように感じました。

最後に、現地のジャパンセンターのスタッフのサポートもあり、充実した実習となりましたが、語学や医学知識がもっとあれば、より多くを得られたかもしれない、と感じる場面もありました。英語でのコミュニケーションに対する苦手意識はだいぶ克服することができたので、これからさらに研鑽を続け、今後も機会があればより長期の留学にもチャレンジしていきたいです。

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