今後の同和行政について 平成13年1月26日 総務省大臣官房地域改善対策室 2001年
今後の同和行政について
平成13年1月26日
総務省大臣官房地域改善対策室
p1
今後の同和行政
1.特別対策の終了
平成9年の「地域改善対策特定事業に係る国の財政上の特別措置に関する法律」(地対財特法)の改正(平成9年経過措置法)により、同和地区(対象地域)・同和関係者に対象を限定して実施してきた特別対策は、基本的には終了し、着手済みの物的事業等一部の事業について平成13年度までの経過的措置として実施。
平成13年度末(平成14年3月31日)に地対財特法の有効期限が到来することにより、特別対策の法令上の根拠がなくなることから、平成14年度以降同和地区の施策ニーズに対しては、他の地域と同様に、地域の状況や事業の必要性の的確な把握に努めた上で、所要の一般対策を講じていくことによって対応。
(注)一般対策とは
同和地区・同和関係者に対象を限定しない通常の施策のこと。
〈特別対策を終了し一般対策に移行する主な理由〉
(1)特別対策は、本来時限的なもの
これまでの膨大な事業の実施によって同和地区を取り巻く状況は大きく変化。
(2)特別対策をなお続けていくことは、差別解消に必ずしも有効ではない。
(3)人口移動が激しい状況の中で、同和地区・同和関係者に対象を限定した施策を続けることは実務上困難。
2.地方単独事業の見直し
地対財特法の有効期限到来という同和行政の大きな転換期にあたり、地方単独事業の更なる見直しが強く望まれる。
🔵資料解説
総務省大臣官房地域改善対策室が、地域改善対策特定事業(同和対策事業)が終了するおよそ1年前である2001(平成13)年1月26日に、全国の地域改善対策を主管する担当課に発したのが、「今後の同和行政について」である。
国立国会図書館レファレンス共同データベースに掲載された質問によると、この資料は、総務庁主催の全国地域改善対策主管課長会議(平成12年12月31日)にて配布されたと説明されている。果たして会議の開催日が12月31日であったのかは疑問であるが、全国の行政関係者に、同和対策事業終了後の方向性を示す必要に迫られ、急ぎ会議を開催しなければならなかった様子がうかがわれる。
ポイントは次の2点である。
①特別対策の終了は決して後向きな判断ではなく、事業の特質と、その成果から当然導かれる正当な判断であることを明確化した
②特別対策の終了に伴って生じる地方の単独事業の扱いについても、方向性を示した。
ここに転載した同文書は、関係者から複写を入手した。資料を含む10ページの簡素なもので、説明にあたる部分は1ページに過ぎないが、翌2002(平成14)年3月31日の『同和行政史』に収録された「特別対策を終了する理由」の基となったメモ的なものと解される。
2p以降は、次の資料が添付されている。
p2「地域改善対策の経緯」 年表
p3「平成9年経過措置法(抄)」
p4〜7 「平成8年地域改善対策協議会意見具申報告書」
p8「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」
p9「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律案に対する付帯決議」衆議院、「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律案に対する付帯決議」参議院
p10 「人権救済制度のあり方」答申要旨 H13.5.26朝日新聞
『同和行政史』の「特別対策を終了する理由」がいつ完成し、特別対策が実施されていた現場でどのように活用されたのかは不明であるが、少なくとも平成13年1月26日の「今後の同和行政について」で指摘された認識は共有されており、平成14年3月の終了に向けて成文化されたのであろう。
「特別対策を終了する理由」は、33年にわたって実施された同和対策事業の成果と、特別対策という手法の問題点を簡潔に指摘しており、同和問題とは何かを考える上で不可欠の資料といえる。
しかし、同和対策事業終了後も人権の課題とされた部落問題の研修等において、同和対策事業を振り返り、「特別対策を終了する理由」「今後の同和行政について」が取り上げられることは、ほとんど無かったのではないか。
部落問題とは何か、それはどう語られたのかを考えるためにも、事業終了に向かう中で行政関係者に示された平成13年1月26日付「今後の同和行政について」を転載しておく。
【参考】
国立国会図書館レファレンス共同データベース2014
質問
総務省大臣官房地域改善対策室が平成13年1月26日付けで出した通知「今後の同和行政について」、全文(資料も含む)が載っている資料を探している。
総務庁主催の全国地域改善対策主管課長会議(平成12年12月31日)にて配布された資料の中に入っているが担当課がすでになく、資料が見つからない。ネットでは一部抜粋されたものは見つかるが、省略されていないものがあればご教示いただきたい。
回答
調査済み資料1~15及び調査済みデータベース1~5を調査しましたが、総務省大臣官房地域改善調査(ママ)室が平成13年1月26日付けで出した通知「今後の同和行政について」の全文(資料も含む)を掲載した資料は確認できませんでした。
https://crd.ndl.go.jp/reference/entry/index.php?id=1000153499&page=ref_view
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