真空成形をやってみよう!

【真空成形とは?】


  加熱して柔らかくした板状の樹脂などを吸引することによって、原型に密着させて成形する技術のことです。主に弁当の蓋や卵パックの成形に使われています。

【真空成形のメリット・デメリット】


 ◯メリット
  ・型を比較的安価に作ることができる(型の強度がある程度あれば良いため)
  ・様々な材料に対応できるので自由度が高い
  ・原型が一つあれば短期間で複数個制作することができる
  
 ◯デメリット
  ・樹脂の厚さや寸法にばらつきが生じやすい。
  ・材料のロスが生じる
  ・突起形状など一体成形できない形状がある
  ・窪みを作る際の空気穴まで反映されてしまう


【真空成形に必要なもの】


 ◯原型
  ・型紙
  ・木材等の材料(今回はバルサ材を使用)
  ・紙やすり(用途に合わせて布やすり、スポンジのやすりでもOK)
  ・カッター
  ・カッターマット

 ◯真空成形
  ・作った原型
  ・板状の樹脂等
  ・切断するための道具(はさみ、カッターなど)
  ・ヒーターなどの加熱できるもの
  ・小さい穴をたくさん開けた箱
  ・掃除機など強い吸引力のあるもの
  ・樹脂を挟む枠
  

【使用可能な材料】


 ◯原型
  ※熱に強く、吸引時に変形しない強度のもの
  
  ・木材、ケミカルウッド
   →材料費、加工費が安価かつ短期間で原型を作れるが、耐久性がない。
  ・石膏、石粉粘土
   →加工しやすく安価だが、耐久性が低い。
  ・樹脂(エボキシ等)   
   →短期間で型を作ることができ、量産に向いている。
  ・金属(アルミ等)
   →強度と耐久性に優れており、きれいな表面を作ることができる。
  
  ❌→紙粘土、スタイロフォーム、油粘土

  ◯成形する材料
  ・ポリエチレンテレフタラート(PET)
   →耐衝撃性・透明性・食品衛生性に優れている。
  ・塩化ビニル(PVC)
   →耐薬品性・耐水性・電気絶縁体・難燃性に優れている。
  ・ポリプロピレン(PP)
   →軽量で割れにくく、耐熱性・耐薬品性・絶縁性に優れている。
  ・アクリル(PMMA)
   →透明性が高く、耐候性に優れているが割れが生じやすい。
  ・ポリエチレン(PE)フォーム
   →安価で加工しやすい



【成形する上での注意事項】

成形するときの形


  ・取り出せなくなるので、逆台形やくびれのある形にはしない。
  ・中に空洞を作っても整形できない。
  ・窪みのある形状を作るときは空気穴を作る。
  ・原型は脆い素材の場合は扱いに気をつける。



【真空成形の行程】


1.加熱する

加熱してプラスチックを柔らかくしている様子

板を四角形を描くように端から熱していきます。一度表面に凹凸ができますが、
熱し続けると平らになり、全体的に柔らかくなります。
⚠️熱しすぎると白く変色してしまうので注意

2.原型を置いた箱に枠を被せる

枠を被せる様子

熱した後、枠が開かないようにしっかり押さえながら、型に密着するように被せます。

3.吸引して密着させる

吸引している様子

吸引して密着させます。この時、原型にしっかり密着するまでおさえます。

4.冷めたら完成

完成品



【Q &A】

Q1.ツルツルの原型を作りたいときはどんな材料を使ったらいい?
  A1.石膏がよい。磨けばかなりツルツルになるそうです。

Q2.空気穴はどのような感覚で開けたらいい?
  A2.場合によります。以下の図を参考にしてみてください。

穴あけの例


Q3.どうしても逆台形で真空成形を行いたいときはどうすれば良い?
  A3.原型を切って真空成形をすることでできます。しかし、真空成形をした際に原型同士の隙間も一緒に現れてしまいます。

逆台形の真空成形の仕方

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