いつもどおりの実家
久々に実家に帰った
私が帰ると伝えたら父は張り切って自分の釣ってきたイカを準備していた。
これをイカリングにして揚げる!と意気込んでいたらしい。
母が「さくらは揚げより焼いた方が食べるよ。」と伝えたら、父は、そうなのか!?と慌てて炭を買いに行ったと聞いた
ひが落ちる前からイカを焼いて、海鮮をひたすら食べた。
イカ刺しもお父さんが捌いたもの、豆腐にはお母さんお手製の山椒の塩漬けを乗せて。
さくらにイカ捌いたぞ!美味しいぞ!アニサキスも大丈夫だ!もしなんかあったらウイスキーを飲めばどうにかなるぞ!と、張り切って私にイカ刺しを食べさせたがった。
お母さんの味が大好きだ。
糠床は味がどんどん変わっていくのに、いつ食べてもこの味だから本当にすごいと思う。
夕方からはじめてだんだん家族が集まり始める
イカをお腹いっぱい食べた妹たちは、それぞれ部屋に戻っていき、お母さんも寝る支度に入る。
父と私は二人でイカ焼いて、お酒飲んで、ウッドデッキでまったりした。
ボブ・マーリー、RCサクセション、ブルーハーツ、THE STREET SLIDERS、かけて父は楽しそうだった。幼い頃に父とキャンプに行く時か釣りに行く時に聴いていた曲で、懐かしかった。
いつも通り、夢中でバンドやってて宇都宮のビッグアップルでライブしてたんだぞという話をだらだら聞く
ノラジョーンズ、ハナレグミは母が好きでよく聴いていて、学校から帰ってくるとかかっていた。これがかかっていると、お母さん家にいるな〜と思っていた。実家は小さい頃から変わらない景色や音が多く、懐かしさを味わえる。
化石みたいだ
そういえば49歳だと思っていた父が、実際は52歳だということに驚いた。
次の引っ越し手伝ってよ〜お願い!と駄々こねていたが、52歳と知ってお願いするのをやめた…
家族の年齢が分からなくなる。実家の周りだけ時間の流れも遅くて時空が歪んでいる気がする
部屋の中では、母がずっと欲しかったロッキングチェアを骨董屋さんで買ったらしく、そこに座りながら歯磨きしたり本を読んだりしてまったりしていた。
何年も探して何箇所も骨董屋さんを巡ってようやく出会った一品を大切に買う母の買い方、好きだ
網戸から入ってくる夜風を浴びながら椅子にゆらゆら揺られて、「ずっとこうしていたいな〜。」と母がぽそっと呟いてた。暮らしが幸せそうだと思った
そうだね〜と私も夜風に当たって相槌打った。なんかもう時間が経たない気がした。ここで一生ぼーっとしてたいと思うくらい気持ちがよかった。
そんなことを言ってもどうやっても明日が来るんだと思ったら泣きそうになった。
毎日が辛いから、とかではなく。この瞬間が心地良すぎたからだ
次の日の朝は相変わらず懐かない猫、みそと遊んだ。
う〜〜〜と唸ってどこかへ行った。
前に、井上咲楽は動物に懐かれていないという自覚を持った方がいいと思うというツイートを見たことがあったが、まさにその通りだと思う。
私が飼い始めたし私が名付け親なんですけど。
小学生の妹はまだ私にべったりで、帰るたびに大はしゃぎして喜んでくれる。ねーね!大好き!と素直に感情を表現する。
私が中学生の時に着ていた服を着ていて、大きくなったんだな〜とびっくりした。
高校生の妹はイマドキ女子、みたいになってていろんなことを教えてくれた。私の写真をまとめた動画がTikTokでちょっとバズってたよ〜と教えてくれて、さらにいいコメントだけスクショして見せてくれた。
ちょっと前までは、「変な髪型でテレビでないでよ!眉毛も太いし!ねーねは居ないことにしてるから!」とブチギレていたのに眉毛剃ってから落ち着いてて、逆に色々見て喜んでくれてるようで、よかった。生意気だけど
20の妹は相変わらずサバッサバしていた。
久々に帰ったら、みんなそれぞれ生活していた。私がいない間もこうやって毎日の暮らしが繰り返されているんだと思った。
庭の木々や転がっているサボテンの成長を楽しんだり、みそと戯れたり、母は今日もきっとロッキングチェアに揺られてうとうとしている。私も数年前までここで暮らしてたんだ〜と思ってしまった。当時はこんな家にすんでいた、みたいな感覚で、歴史上の家、みたいだった。
益子に引っ越したい。
そして、
生活、私もていねいにしたい。わかりやすい幸せや、わかりやすい味もいいけど、自分はもっと日常の些細な幸せを掬って生きていきたい。それでほんとは十分なはずなんだと思う。
久しぶりに実家に帰ってリセットされた。そう思った。