改めてダリルバルデAIについて考えてみる

ダリルバルデの「意思決定拡張AI」については以前も考察した

その後いろいろな情報や描写が増え、改めてあのAIが何なのか疑問に思えてきたので、再度考えてみたい

AI技術に長けているはずのジェターク

ディランザソルの説明書に、ジェターク社は「最新のAI技術研究も意欲的に行う」との一文がある
これ、内容から本来はダリルバルデの説明書、ないしまだ未登場で、制御にAiが使われているかどうか不明な「ガンダムシュバルゼッテ」に記載されるべき内容だろう。ディランザソルの活躍に特にAI制御と関連した描写はない

ようは違和感を覚えさせるタイミングで、あえてそれを明かしたということ

前振りだとするなら、タイミング的に「エアリアルの中にエリクトがいる」疑惑と「ガンヴォルヴァ」かな。ロウジのハロがAIなのに異常なまでに理解力が高い、という点は、小説の発表と2話でのやり取りで気づける人は気づくように仕向けられていると思うので、今回のジェタークAIがどうの、とは直接的に関係するか微妙に思う

ガンヴォルヴァの制御

ガンヴォルヴァも基本的にはガンドフォーマットによるパーメットリンクを介した制御で、AIとは違うものに思えるものの、モビルスーツという人型を複数制御するのにAIのアシストなしで、というのはさすがに情報量が多すぎるだろう。タスクレベル(仕事量)という意味では、下手すると1体動かすだけでエアリアルのガンビット全部より膨大なデータストームが発生しかねない

と考えると、ガンヴォルヴァの制御は「ダリルバルデAIが到達しなかった人機一体の制御」と言える
こういうとオカルト派だと「ガンヴォルヴァの中にも人格が、魂が」となるだろうが、エアリアルにも封じられてるそれらしい場所、ビット制御のたびに意味深にアップになる場所といった匂わせ描写がなく、ガンヴォルヴァならコクピットがあるしその中に人が、と思ったけど、コクピット部分にスペースはなく、人体の一部など生体部品になっているものを入れたり、メンテナンスする設計がなされている様子がない

コクピットがない仕様と思わせる表記
コクピット部分にシェルユニットがある為、搭乗も開閉も不可能

よく見るとシェルユニットが頭部と胸にしかない。他の機体でも肩やももなど各所に分散されて搭載されているのに、それっぽい部分まであってガンヴォルヴァには分散したシェルユニットがない
これを「コクピットに全て組み込んだ無人機」と考えると、コクピット部分にみっちり詰め込んでるから他と違って分散する必要がない、と考えればデザイン的にも整合性が取れている

ということで、ガンヴォルヴァはAI制御や人格が埋め込まれてない、と断言することまではできないが、コクピットがある可能性はないし、そこに生体部品を納める場所もない、というのはかなり確定的では

エリクト及びエアリアルAI

エリクトがAI、ないしAIに取り込まれた等の説について考えてみる

これについては全否定が難しい。あやふやに描写されているというのもあるが、完全に「ない」と否定してしまうと、プロローグでエリクトというキャラクターを登場させた意味が「裏で死んだだけ」という、残酷過ぎて何も浮かばれないことになってしまうので、プロローグを見た人にはもちろんショック、見てない人には「え、じゃあ何でこのキャラ出したん?」としか思わせられないので、単に可哀そうという悲劇のためだけに登場させた、というのは極めて考えにくい

また、1期序盤のビットの個性的な動きに対し、人間でも及ばないようなロウジのハロの受け答えのように、アドステラ世界のAIは現実世界のAIとは比較にならないほど高度に知能化しているのに、そこに人格を見出したりする描写が一度もない、恐ろしく徹底している(あるとすれば、1話冒頭でスレッタがハロにお辞儀をしたくらい)

つまり、あの世界の人はAIに人格を見ないし、そこにそれが宿るなどとは信じていない、ということ

それなのに、4号もソフィもエアリアル、ないし「その先に」人影や人格のようなものを感じ、スレッタもエアリアルに「人生相談」するなど人格を見出している
スレッタに関しては「みんな」と呼びつつも、ビット一つ一つに人格を見出して別個性として扱う様子はない。これに関してはソフィがぬいぐるみにお母さんや妹などの「役割」を与えているのとも比較になっている

つまり、エアリアルか「その先」にいる「何か」は、AIが進化した存在、という可能性は低く、また「魂取り込み放題」とも思えない。というのが自分の見解

ノートレットやナディムもそこにいる、というのは、ビット一つ一つに個性があるようだし、複数の子供の影を4号が目撃しているからそう思えるが、前述の通り誰よりそばで感じているスレッタの言動が否定的なので、いたとしても青いパーメットのあざを発動したエリクト以外は「そこ」にたどり着くのは不可能なんじゃないか
誰よりプロスペラがナディムのことを一切口にしてないのがそう思わせる

AI技術に長けているはずのジェタークの違和感

以上踏まえて、改めてディランザの「意思拡張AI」について
ロウジのハロのように、アドステラ世界のAIは極めて優秀、人の言うことは文脈を把握して完璧な問いを返す。この辺は小説でも「AIの文脈把握ミスは百年以上前の話」と、宇宙に進出した人類が年号を「アドステラ」と改めた頃にはもうなかった、と説明している

なのにどうだろう?ダリルバルデはパイロットであるグエルの意志は完全に無視した、これはあの世界のAIにはありえないことだ

まして書いてきたとおり、ジェタークはそのAI開発に注力し、スタッフも「意思決定拡張AI」の性能を自負して、小説ではそれをグエルに丁寧に説明している
と考えると、あのAIが単純に暴走したとか、言うことを理解できなかったとか、ジェターク社がAI技術の開発を甘く見ていたからああいうことが起こった、などということがありえるわけがない、ということがわかってきた

以前までならその線で片づけられた、前CEOヴィムの性格、ディランザの出力が決闘では30%も抑えられている、という脳筋なパワー重視の設計思想など、AI開発なんて眼中にないため、そこが作ったAIだからポンコツだったり、人の言うこと聞かないことに妙な説得力があった

ところがそうではなく、ジェタークは名前だけ出ている「ドローン戦争」から、自動制御によるドローンの操作を「モビルスーツの正当進化」と捉えている節があり、多分AIで制御していたそれが、これも推測ながら「自ら引き金を引く覚悟」に抵触するため、アンチドートの元になった電子対抗技術の発生、及びそれを封じられた代替技術として、ガンドフォーマットによるドローンの制御「ガンビット」へ発展したものと思う

そう考えればまさに、パーメットリンクでなくAIでガンビットを制御するダリルバルデは「モビルスーツの正当進化」そのものだ
その上で「パイロットの言うことを聞かない」のは、元々のドローン戦争の頃からの問題がより表面化しているのか、それともその頃の曖昧な指示による「意図しない攻撃」を防ぐため、制御をよりAI任せにした結果があれなのか

いずれにしても、ダリルバルデのAI制御が他のAIと比べて極めて異質に描かれている、ということがだんだんわかってきた

また、聞くところによると意思拡張決定AIに使われた「ベイズ予測」そのものが古い、という指摘もある。これについても門外漢だからわからないが、しかし調べるとビッグデータの分析に注目されている、とする記事も出てきた
とは言え「ビッグデータ」という言い回しからしてもう古いからなあ…

再登場予定のダリルバルデ、そしてシュバルゼッテ

ダリルバルデはOPで新武装、及びシールドビットが新造され、再登場するであろうと期待されている
が、当然ここに付きまとう問題は「制御をどうするか」ということ

再び意思拡張AIに任せるのか?以前のが第五世代だったので、更に進んだ第六以降の世代にアップデートしたとしよう
それでパイロットの言うことを聞き、サポートに徹することができるのなら、以前のバージョンでできなかったことがよくわからなくなる、再登場時にどう説明されどう動くのか、そこに注目するしかない

特に何かそこにのせたい思想、作品テーマがない場合、再登場はするが主要キャラが乗らない量産機、もしくは無人機の可能性もある。この場合は第五世代の意思拡張AIのまんまで問題がなくて無駄に尺を取る必要もない

が、さすがにシュバルゼッテはそうはいかない。無人機の可能性もなくはないが、少なくとも第五世代の意思拡張AIのまま、というわけにはいくまい、
満を持して登場するのにそれではね

ビットが見られず剣一本ということで「本当にガンダムなのか?」含め、パーメットスコアを上げずに乗る、という予想まで飛び交っているけど、ガンダムと言っている限りはさすがにガンドフォーマット搭載機だろうし、となれば安全圏のスコア2だろうが、パーメットリンクせずに乗る、というのは無理筋だろう

ビット自体はウルの時に、ビームサーベルの色を差し替えた前例があるので、ビットを取り外して撮影した可能性もまだある。下手をするとガンヴォルヴァのような、エアリアルのガンビットと違い大型で機体に装着するタイプではないかもしれない


ということで、改めて生まれたダリルバルデAIについての疑惑、疑問。その再登場及び派生機であろうシュバルゼッテ、そこにAIがどう絡んでいくか注目しているという話でした

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