アドステラ世界におけるAI

水星の魔女小説2話冒頭で「うけたまわりました」と、ロウジのハロがそれまでの会話内容から推測で、自分に何を求められているか理解している
これ、人によっては人間ですら出来ないことをやっている

アニメではテンポを悪くしないためにやっている、と思っていたが、小説ではAIの理解力であることが明かされた
逆にアニメの台詞の少ない会話劇そのままなせいで、ハロの理解力がほぼ読心術に近いくらいに高いことになってしまっている。自分ならあの会話で振られても、何を求められているか理解できない自信があるぞ

更には同じく小説のプロローグで「AIの文脈把握ミスなど百年以上前の話だ」という文章も追加されている
この世界におけるAIは、もはや人間と変わりないレベルにまで理解力がある、それこそ今話題のチャットボットにも全く引けを取らないくらいの

であれば、AIなら極めてあいまいな命令も理解して行動できるということ
それこそエアリアルのガンビットが生物のように動くが、あれもAI自体に自我が無かろうが、パイロットがイメージしたそのあいまいで感覚的な思考を理解し、その通りに動かせても不思議ではないことになる
勿論かなり人間離れした空間把握力がいるけど

逆に言うと、ダリルバルデに搭載された意思拡張AIはまるでパイロットの意志を汲み取ることなく、あくまで意思拡張の「意志」は、AIを単体でなく複数つなげることで、AIの計算結果を「意志」として、それを「拡張」するものらしい、とこれまた小説の描写から推測された

ダリルバルデは結構動けていた、何であればそこらのパイロットよりはいい動きをしていたが、水星でモビルスーツのシミュレーションを繰り返していたらしいことが「ゆりかごの星」の描写から見えるスレッタのように、裏をかくような挙動には引っ掛かってしまうあたり、文脈は読めても行間は読めない、評価はできるけど感想は言えない、という感じなのだろうか

と考えると、スレッタの考えがよくわからないからAIだ、とかいう説も上がって来るけどどうだろうか?
1話温室でミオリネに「あなたのお母さんは生きてるのね」と言われて、その発言の意図を汲み取って失礼を詫びた
ところが、それ以降も「お母さんに教わらなかったですか」とやり、実際母の影が見えないグエルやソフィに、同じような過ちを繰り返している

AIなら、ロウジのハロの例からなら恐らく発言の非礼を詫びるくらいの理解力はあるだろう
逆にその非礼から「学習」し「お母さんに教わらなかったですか」という発言はしないように思う

他にもスレッタは「文脈把握ミス」と言える言動が多い。この点から彼女がAIとかガンドによるロボットやアンドロイドだとすると、そのAIはハロ以下、という可能性が高くなる
更にはそのポンコツAIが、複数のAIで並列計算するダリルバルデを、単体のAIが打ち負かしたことにもなる
この点に関してはスレッタが単体のAIであるとは限らないし、エアリアル搭乗時はそのAIが補助する形でIQが上がる、とかもありえるけど

それと、意志を汲み取ることに関してはAIにミスがない、というのであれば、ビットを操るという複雑な挙動に関してもあいまいな命令に従えるわけで、そうなってくると「ビットを操るからタスクレベルが上がってデータストームが起こる」というのが、何かの勘違いなのでは?という疑いが

とは言え、現実に研究をしているベルメリアがそう判断しているので、全く根拠やデータがない判断ではない。となれば、こちらの予想の方に思い違いがあると考えるべきだ。そもそもデータストームはレスポンスの問題だから、こちらのコールが伝わるかどうかは関係ないのかもしれない

コールと言えばプロローグでレイヤー33へのコールを繰り返すもレスポンス、コールバックがなかったけど、あれもレイヤー33というレベルのコールの意図が理解できなかったから返しようがなかったのかな?
「寝返りもうてない赤ん坊」と言われてたし、言葉は学習させたけど、動物が単語での命令はわかっても会話は理解できないような、先に上げたので言うところの行間は把握できないやつ

だとすると「ゆりかごの星」でエアリアルのデータ内に漫画やアニメが入ってたのって、スレッタのためじゃなく意思疎通のために、言語じゃなく物語を読み解く力をつけさせるため?スレッタのやりたい事リストの内容からも、少年漫画よりは少女漫画、心理描写を直接的な言葉でしないタイプの作品を参考にしているような感じが(確か水星の魔女自体も、少女漫画的文法を取り入れているというインタビューを見た気がする)
そう考えると、スレッタがそれらで学んだであろう対人関係の機微に疎いのも、それがスレッタ用ではなかった、ということが言いたいとか?

うーん…、だとしてもあのコミュニケーションの下手さは、その克服も含めた主人公のキャラクター性だろうから、考え過ぎかな

追記

チャットボットについて調べたけど、やはり「それらしい文章を組み立ているだけ」で、こちらの意図を汲み取っているわけではないとのこと
細かい説明は省きますが「私の手に目は何個ありますか?」と聞くと、指の関節を目と見立てて何個あります、と答えたとか

これではとても「文脈把握」とは言えない、けどアドステラ世界でのAIはそこを1世紀以上も前に超えている、これはもう「人格」と言っていいのかもしれない
少なくとも現在は人間側がAIの文脈を把握しよう、と迎えに行っているけど、小説の描写だと、アドステラ世界では逆ができている

であるのに、あの世界ではAIの反乱やAIに人格を見出して恋愛や人権問題に発展する、なんてこと
以前に、AIに対して気を払う様子がない
(スレッタが1話で案内役のハロにお辞儀はしてたけど)

もしAIに自我が芽生える、などの展開があるのだとしたら、丁寧に伏線を張っていく水星の魔女で、エアリアル以外のAIに人格を匂わす描写がないのが対比としても、エリクト以外が何も気にしなかったら単に「プログラム通りの受け答えをする」現代の機械と同レベル、としか視聴者には映らず、伏線として引っかかる描写にならない

水星の魔女は本当に丁寧に伏線を張ってくれる、それを小説やプラモデルの説明書の文章、雑誌の情報もあわせて慎重に小出しにする
その分「唐突に明かされる事実や一切説明の無い謎」というものは極力避けてきているので、たとえこの後3クール目4クール目が決定しようとも、ここまでで僅かも描写の無い技術で何かの説明や解決をする、という可能性は基本的に考えないようにしている
どれだけSFや過去ガンダム作品でお馴染みの技術だとしても

カルド博士もルブリスを「みんなの子供」といい、プロスペラもエアリアルを「娘」と称したが、同時に「最高傑作さん」とも言った

愛着は見せても、機体を擬人化して見ていたのは現状エリクトだけ。スレッタも「みんな」と呼びかけてはいるが、エアリアルの方から「話しかけて」くるから人格は認めているものの、はっきり「意志」を感じられる会話が成り立ってなかったと思われる9話まで、エアリアルが壊れても手入れしたり涙を流す様子がなかったので、スレッタも何だかんだエアリアルを単にモビルスーツ、としか思ってなかったと思う。特別ではあっても

てなわけで、ルブリスがレイヤー33を突破したのも、AIに「人格」が発生したというよりは、人格があると思って「話しかけた」エリクトのおかげで「思考のデータベース」が増えたから「それらしい挙動」が可能になった、ということじゃないだろうか?

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