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名称について

この場所を購入し、孟宗竹の伐採、古い建物の修復に取り掛かって今年でもう6年になります。
はじめはここを、家族の中で「ニコモ」と呼んでいました。ニコニコの森の略です。

この場所の活用を、関係する建築家たちと話していく中で、ニコモではちょっと説明ができないと、2年前「志摩の小庭」に変えました。観光客受け入れを見据えての改名でした。

この場所の活用、事業の具体的始動のために敷地内に建設中だった「いかだ丸太の家」がいよいよ完成というときでした。

新型コロナ禍、観光、特にインバウンド
については根本から考え直される状況になりました。

Murai氏の承諾を得て、「いのこ野」と改名することを決断しました。

名付け親のMurai Hironori氏は、2年前共通の友人を介して初めてここを訪れ、今までのこと、将来のことを聞いてもらっただけなのに、アーティストの感性で文章表現してくれました。
感謝します。

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「いのこ野」(発音:いのこの) 欧文表記:inocono

[ 二つの説明:その一 ]
猪子家にちなんで「いのこ」と、シンプルに考えました。大事なのは「野」の方で、場所の性格から「園」「苑」「庵」「舎」「杜」など、
収まりの良い押さえ方を模索してみたのですが、今後、様々な事業がこの地で試みられ、様々な人々が集い、出会うことを想定し、
それらが「場としての新しい在り方」を提示できるときに、「園」を始めとするこの手の名称の在り方は、どれもが既成の社会制度を詠ったもので、
古いシステムの枠組みを印象づけるものばかりの様に感じました。場としての新しい在り方は既成の枠組みを越えた在り方であることがふさわしい、との判断で、
そのフレームを取っ払った結果、「野」という、野性味あふれる(笑!)一文字に突き当たりました。
大変な野心を背負った一文字ですので、この文字をしっかり立たせるためには「野」の前にかかる「猪子」をカナ表記にすることでコントラストを際立たせています。

[ 二つの説明:その二 ]
発音「いのこの」を何度か繰り返してみてください。何だか、とても有機的で生命の鼓動を想起させるリズムを感じませんか(笑)?
もちろんコンセプトも大事ですが、このような直接に人間の生理に訴えかける「言葉のチカラ」も多くのみなさんに愛される大事な要素だと考えます。
何よりも子供達にも親しんでもらえる愛称となることも念頭に入れてみました。欧文表記も可愛らしい文字並びです。

「猪子家住宅」は国の有形文化財になる格式をともなった「場」でもあります。その格式を損なわない範囲で、同時に「親しみ」と「革新」とを盛り込んだ
私なりのギリギリの判断(笑)として提案をさせていただきました。

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