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新しい働き方と税 137

今さら聞けない……「扶養内で働く」って、どういうこと?

学生を卒業して、一般的にはいよいよ就職。
そう思っていた若者が、今ではフリーランスを臨み個人事業主やバイトで生計を立てている人が増えてきました。
また、年金を支払っても自分たちがもらえるときにはもらえないなら支払わなくても…、そういう若者が増えたとも聞きます。
厚生労働省発表では、2023年度の国民年金保険料の納付率は約75.5%のようです。

わたしは結婚して、正社員として働くことをせず、パートの後に個人事業主として働いています。その間、収入が少なかったので主人の扶養として対応してきました。
その主婦年金(第3号被保険者制度)の廃止は現在もなお議論されており明確な日程は決定していませんが、早ければ2025年には廃止される可能性があるとされています。 2025年には、ベビーブームが起きた団塊世代が75歳以上の後期高齢者となり、労働人口が不足したり、社会保障の負担額が大きくなったりなどの懸念がされています。
後期高齢社会にあわせ、今まで通りの生活の仕方ではうまくいかないことも起こっていきそうですね。
反対に、学生を卒業して定年まで働き続けるというスタイルもなくなりそうですね。転職といえば昔ではそうあることではありませんでしたが、なんだか昨今は当たり前のようにさえ転職を耳にすることが増えました。
何が良い悪いではなく、時代が変わったことを実感します。

あらためて、扶養内という物についてまとめておこうと思います。

パートなどで収入を得る場合、「扶養内で働く」ことを望む人もいます。
そもそも「扶養内で働く」とは、どういうことなのでしょうか? 

「『扶養内で働く』とは、
家計の中心となって働いている人の扶養の範囲内で配偶者が働く
という意味です。そして、扶養の範囲内で働くということには、
「税制上の扶養」

「社会保険上の扶養」
の2つ
があります。
配偶者控除や配偶者特別控除によって、家計の中心となって働いている人の所得税や住民税が軽減されるのが、税制上の扶養控除です。
それとは別に、家計の中心となって働いている人が会社員や公務員の場合に限り、配偶者が自身で負担することなく健康保険や年金などに加入できるのが、社会保険上の扶養となります」

パートで働くときなどに、103万円、106万円、130万円、150万円といった、いわゆる「年収の壁」の話を耳にすることがありますよね。
この「年収の壁」が、扶養とどのような関係があるのでしょうか?
103万円、150万円の『壁』は税制上の扶養控除にかかわるもの
・106万円、130万円の『壁』は社会保険上の扶養にかかわるもの

税制上の扶養控除にかかわる『壁』について、説明します。
個人事業で得られる収入は事業収入となり計算が異なるため、配偶者の収入はあくまでもパートなどの給与によるものとします。

配偶者の年収が103万円以下で、家計の中心となって働いている人の給与収入が1,095万円以下(給与所得900万円)の場合、家計の中心となって働いている人は所得税38万円、住民税33万円の配偶者控除を受けられます。
それでは、もし配偶者の年収が103万円を超えてしまったら……?
2018年以降、配偶者の年収が150万円以下で家計の中心となって働いている人の給与収入が1,095万円以下なら、配偶者特別控除によって、同様に所得税38万円、住民税33万円の控除が受けられるようになりました。配偶者特別控除は、年収が150万円を超えると控除額が段階的に減り、201万円を超えた時点でなくなります」

配偶者の年収が103万円でも150万円の違い
・103万円を超えると配偶者自身が所得税を納めなければならない
ということです。

社会保険上の扶養にかかわる「106万円の壁」「130万円の壁」について
ここでいうケースは家計の中心となって働く人が会社員、公務員である場合が前提で、自営業、フリーランスなどの方が加入する社会保険制度には「扶養」という概念がありませんので、まったく気にする必要はありません。
『130万円の壁』は、配偶者の年収が130万円を超えたときに、自ら社会保険(健康保険、厚生年金保険など)に加入しなければならず、家計の中心となって働く人の扶養から外れるというものです。
ただ、一部の人は収入が130万円を超えなくても扶養から外れることがあります。それが、106万円の壁です。
給与年収が106万円を超え、さらにいくつかの条件をすべて満たしたときには、自らが社会保険に加入しなければなりません。結果的に、家計の中心となって働く人の扶養から外れてしまうわけです。これは、本来は、特に若い世代の短時間労働者に向けて、健康保険や厚生年金保険などのセーフティネットが利用しやすくなるように設けられた制度といえます。
社会保険加入による負担は、それなりに大きいものです。
たとえば、『130万円の壁』で考えると、年収が120万円の人よりも140万円の人のほうが手取りは少なくなる可能性があります。その一方で、自分自身で社会保険に加入すれば、病気等で仕事ができず4日以上休んで給与が出ないときに傷病手当金が最大1年半支給されたり、将来受け取る老齢年金が増えたりするなどのメリットも少なくありません。
また、2024年から、パート・アルバイトで働く方が年収の壁を意識せずに働ける環境づくりを後押しする国の取り組みがスタートしました。
主に事業主に対する取り組みですが、知っておくとよいでしょう。

2024年10月から、パート・アルバイトで働く方が「年収の壁」を意識せずに働ける環境づくりを国が後押し

労働市場の人手不足を背景に、短時間労働者が「年収の壁」を意識せず働くことができる環境づくりを、国が後押しする取り組みが始まりました。
「年収106万円の壁」については、パート・アルバイトで働く方の厚生年金や健康保険の加入にあわせて、手取り収入を減らさない取り組みを実施する企業に対し、国が労働者1人当たり最大50万円の支援をする制度です。
「手取り年収を減らさない取り組み」とは、例えば、社会保険適用促進手当の支給や、賃上げによる基本給の増額などがあたります。
また、「年収130万円の壁」についても、パート・アルバイトで働く方が繁忙期に労働時間を延ばすなどにより、収入が一時的に上がったとしても事業主がその旨を証明することで、引き続き被扶養者認定が可能となる仕組みが作られました。
あくまで企業や事業主に対する国の取り組みですが、こういった大きな流れの中で、年収の壁を意識せず働く人も増えていくかもしれません。
年収の壁を越えて働く方が、世帯収入は増える可能性があります。自分自身で社会保険に加入すれば、傷病手当金が支給されたり、老齢年金が増えたりするなどのメリットも享受できます。国も後押しをしています。

ぜひ長い目でみて、ご自身の働き方を考えてみる時なのかもしれませんね。
これは2024年3月時点で施行されている法律に基づいてまとめてみました。
あくまでも参考までに…

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