息子先生(りんご編)
我が家の夕食、夫が亡くなってから息子のうちの一人(男三兄弟)と二人での夕食になった。
うちの夕食は、必ず晩酌なのだ。
それは、彼らが小さい頃からなので、夕飯とは晩酌付きだと思ってる。
親が仲良く酔っ払って議論を戦わせている時(大概はくだらない話で盛り上がる)何時間も兄弟で遊んでいた。家族での夕食とは長時間、うだうだと食べながら議論を交わすものだと学んだせいか、息子先生と二人になってからは、彼が夫の代わりをしてくれる。
ただ
問題は、息子は夫とは違って息子先生なのだ。
適当なところで切り上げたい私を何時間も拘束するのだ。
そして、この日も焼きそばから始まった。
その日、モロヘイヤの乾麺が期限切れで放置してあったので、あわてて使ってみた。
期限切れだと知られたら怒られるから内心ヒヤヒヤなのだ。
彼が私を信用できない理由に期限切れの食材を黙って使うことが入れられている。(賞味期限切れ)
主婦にとっては、当たり前に使うと思うのだが、息子先生、美味しいものは美味しい時に食べるべしという格言を持っているのだ。(ちょっと面倒くさい奴)
そして、モロヘイヤ麺、炒めてもスープでもよいと書かれていたので焼きそばにしてみた。
食卓の一品としてテーブルの上に鎮座しておりますこの目新しい食べ物。
当然、息子先生は、
「これ何?」と聞きました。
焼きそばと答えた私に、
「見ればわかることを答えないでほしい!」と
「毎回、同じこと繰り返すけど、そろそろやめない?」
「テーブルに、リンゴが置いてあって、これ何?って聞いたら、リンゴって答える人いないよね?」
「それと一緒で、焼きそばの麺のことを、聞いてるのは、わかるよね?」
「。。。。。」
いやいや、林檎は、林檎🍎って答えるわぁ。
林檎以外、何物でもないだろ〜
聞くなよ〜忙しいのだから
たいした林檎じゃないよ、スーパーで買った林檎なんだから
特別な林檎の時は、話すだろう!
って含みのある『林檎』って返答なのだよと答えたら、
そこからが長かった。
「前にも言ったと思うけど〜」これが始まると解放してもらえない。やばい奴なのです。
首根っこ掴まれて、こんこんと懲りもせず、1から丁寧に話し始めるのだ。
要するに、私の話し方には誠意が見られないとのことだ。
相手が何を聞きたいのかなんてお構いなしで、自分がわかっているからと言葉を端折るという。
頭を使わないから、リンゴを見たまま林檎と答えるような考えなしの返答ができると怒る。
「リンゴは、わかりやすい例であって、全てが万事、頭を使わないから問題が起きるんだよ。」
だったら、聞き方を変えてよと言ってみた。
この林檎は、
どんな林檎?とか
誰から貰った?とか
どこで買った?とか
息子先生、それではダメらしい。
「それらも諸々含めて、どんな背景があるかを聞きたいのにピンポイントで聞けば、そこしか言わないだろう。聞いたことだけに答えればいいと思っている人にピンポイントで聞くわけがない。」
私がたいして大事でないと思っている情報が彼にとっては聞きたい情報かもしれないとのこと、だから幅を狭めた質問はできないとのことだ。
だから、「これは、何?」と聞くのだ。
そして、私にとっては訳のわかない面倒くさい質問に思えるのだ。
面倒くさい奴と私は思う。
たかだか林檎なんだし、食べたいか食べたくないかなんだけどなぁと思っていると
「聞いた情報でリンゴが、美味しく食べられるか食べないかだ。」と言う。
もっと面倒くさい。
私にとって、今、林檎が食べたいのかどうかが重要で、食べたい時に、その林檎が、どんな林檎であってもいいのだ。
奇跡のリンゴを手にした時とは、そもそも違うのだ。
まぁ、あの時は、大騒ぎして、前振り沢山しましたが、息子先生、一言
「匂いがリンゴの香りがする」ってビックリしてました。
それが、どういうことかというと、リンゴの飴の毒々しいリンゴの香料の匂いを本物のリンゴで嗅いだとビックリしたのだ。
「リンゴって、本当にこんな匂いなんだ」と感動しておりました。
そんな特別な林檎の時以外は、私にとって林檎は、林檎って答える。
でも、よく考えると、誠意のない会話を(確かに頭を使ってない会話)をしているなぁと反省もする。
頭を使うより感情を使ってしまうのだ。
良い悪いはないというが、誠意は、必要だ。
毎週開催している読書会で、誠意ってなんだろうと話題になった時、
私の誠意
あなたの誠意
世の中の誠意
社会の誠意
誠意のある言動
誠意って何?
そんな時
『誠の気持ち』って話された方がいて、すごく素敵な言葉だと思った。
息子先生に話したら、誠の気持ちも自分視点だねって、そして、話題は、誠意と善意とは違うよねという話に移っていった。(この時点ですでに3時間ほどが経過)
そして、ある出来事の話をしたら、
「あなたのその行動は、善意のある行動かもしれないけど、誠意はないよね。」
はい、精進いたします。
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