見出し画像

いのちびとメルマガ(35号)

難有、有難し
(いのちびと2016年11月号より)


二〇〇一年十月、私は北海道家庭学校を訪問しました。
たった一枚の“いのちの額”を求めて…。

北海道家庭学校は、キリスト教精神に基づき開かれた児童自立支援施設です。
不良行為などを行った少年たちを、農作業などを通じて汗を流し、大自然と親しむことで更生を図っています。

校長先生のコメントです。
「不幸に負けた子供たち。それが一番的確に、ここにいる子供たちを表す言葉であると思います。
苦労に負けない子供。不幸に負けない子供。
それは苦労や不幸を体験することによって、育てられるのです。
世のなかには、意に沿うようなことなど、ほとんどない。
どんな環境にも負けない子供を育てることです。
それが人間としての課題です」

私は、ふと「子供」を「あなた」に読み替えてみました。
不幸はあって当たり前、それを乗り越えることが生きることであるように感じました。
当時、私は長女を亡くして、どう生きるかを模索していました…。

学校の礼拝堂には、力強く書かれた二文字の額がありました。
“難有”―。
『難有』は、逆にすると『有難し=ありがとう』に…。

「自分だけじゃない。みんな、人生の難を背負っている。
それが普通なんだ。自分の心により『ありがとう』にもできるんだ」
そんな思いが、すっと心に沁み込んできました。
家庭学校を去るとき、青空が本当に清らかに、透明に感じたことを覚えています。

額には、「難有」の二文字しかありません。
その後を、どう思い繋ぐかは、読む人の心次第です。
その心が、人生を拓いていくのではないでしょうか。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
*会報「いのちびと」から、「心に響く話」を抜粋しメルマガとしてお届けいたします。
(毎週木曜日頃)
*会報「いのちびと」は、6回/1年/1500円で定期購読できます。

お申し込みは「当会公式サイト」をご参照ください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?