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いのちびとメルマガ(106号)

『麻田フライト』
(2020 .9号 Sさんの寄稿文より)
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 新型コロナウイルスが猛威を振るっており、世界が変わろうとしています。飛行機で、国内や国境を越えて海外に飛んで行く、という日常も今では非日常となっています。いつの時代も空を飛びたい、という夢は子ども達に夢と希望を与えています。  
 全日空の機長であった麻田正は、国立玉浦療養所の生徒さんと交流をはじめました。「療養所の子ども達を乗せて遊覧飛行をしたい!」という想いを、5年間会社を説得。1963年、その夢が実現しました。
 2006年4月21日、再びそのフライトが実現しました。養護学校の生徒達を乗せて再び遊覧飛行を行おう!と、ANAグループのボランティア約百名が終結します。
 養護学校には、様々な障がいを持つ生徒さんもいます。麻田機長の頃よりも安全面での規制も強化されており、安全かつ快適な空の旅をどうすれば実現できるか。ストレッチャ-と呼ばれる、ベッドに寝たままで搭乗できる設備も活用し、出来るだけ多くの生徒さんの搭乗の準備を行いました。
 当日は、曇り空と小雨。遊覧飛行には最悪の天気でした。しかし、子ども達は飛行機に乗れる、ということで笑顔をたくさん振りまいてくれました。私たちは「遊覧飛行」ということにこだわっていました。飛行機に乗れる、障がいがあったとしても飛行機に乗れるんだ。それだけでも大きな自信になっている様子が伝わって来ました。
 仙台空港を出発した飛行機は、山形など日本列島を周回して仙台空港に戻って来ました。なんと、厚い雲がかかっているはずの仙台空港付近で雲の切れ目が出来て、養護学校や仙台市などを望むことが出来たのです。科学では説明できない、自然がくれたご褒美なのかもしれません。子ども達の驚きの笑顔は素晴らしいものでした。
 この遊覧飛行には故麻田正機長の奥様と長女様にも搭乗いただきました。生徒の親御さん、養護学校の先生はもちろん、看護師の皆様、そしてANAグループのボランティアが一丸となって実現しました。
 改めて、現在のコロナ禍でも医療関係者の皆様の力で危機を乗り切っています。私たち一人ひとりが、こうしたチームワークを持って困難を乗り越え、命を守るということを改めて実現したいと感じました。
「あんしん・あったか・あかるく元気!」。夢を持って、それを実現する、そのお手伝いをする。限りある命をどのようにして最大限有効に活用するか。考えさせられる、貴重な「麻田フライト」でした。
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