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干ばつ時に、畑のミミズはどうしてる?


降水量は平年値の37%以下

長野県松本市では、2005年4月から5月の降水量は平年値の37%しか降りませんでした。
しかも、6月に入ってもほとんど降らず、29日、30日になってやっとまとまった雨(2日間で60㎜)が降りました。
このような年に、ミミズは畑でどのように過ごしていたのでしょうか。

土まゆを作り干ばつをしのぐ

有機農業・不耕起栽培畑(黒ぼく土)で、6月20日に土壌動物の棲息状況を調査しました。ミミズ(サクラミミズ)は、土中10~15cmのところで体を丸めて土まゆのなかで棲息していました(図)。土まゆとは、周囲の土を利用してまゆ状の部屋を作り、外敵や乾燥から身を守るためのものです。

図 干ばつ時に土まゆを作り棲息していたサクラミミズ

採取してミミズの腸内を観察したところ、内容物がほとんど見当たりませんでした(図)。ほとんど活動をせずに、環境が好転するのを待っていたのでしょう。
まとまった雨のあと活発に活動し、7月には繁殖できるように環帯(ミミズの体にある太い帯をまいたような部分)のあるミミズが多数見られました。もちろん、隣接する慣行農業畑では、ミミズは見られませんでした。

土壌構造を壊さない不耕起栽培では、周囲の環境に応じた対応を取れたため、ミミズは生き残ったのでしょう。

多様な視点で栽培方法を検討する

畑で生活している生きものはたらき(生態系サービス)を活用した栽培を目指すのであれば、「いろいろな生きものが生活しているところで作物を栽培している」ことを忘れずに、生きものの目線で栽培方法を検討することが大切です。

※生きものの目線については「農地を生態系として捉える」をご覧ください。

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