DJ配信1年やってみて思ったこと。

個人では去年の4月からTwitchでの配信はやってみたりしてるんですけど、だいたい8月で去年uni_crow君と立ち上げたそれでも配信がしたい!の1回目から1年くらい経ちました。

↓それたいをやっているNo_Markのチャンネルです

無題

で、去年の10月あたりから  #オタドア  というイベントを主催することになり楽しくやっております。

↓オタドアのチャンネルです


ちょうど2021年8月にOtaku_Doors(#オタドア)、Limited Sound!(#リミサン)、それでも配信がしたい(#それたい)の三団体合同を終えたのもあり、まあ特にこの感染症でなかなかイベントできない時代、配信DJという活動して思ったことを私なりにまとめてみることにしました。

無題

1.現場の代替としてやってた人もいたけど現場の「代替」でも「劣化版」でもないよ。ということ。

まずいいたいのがこれです。DJ現場も復活してきた今、禍下でやむなく在宅配信・無観客配信をやってきた人からも正直なところ「配信やっててもつまらん!」とか「現場しか勝たん!」というのも結構耳にしてきたものです。

私の立場としても普段VJやっててお客さんがバーカンから飛んでくる、とかそういう体験ってやっぱり楽しくてですね、まあ現場イベと無観客配信イベがもし同コストで選べるなら現場を選ぶ。それはそうなのです。

ただ、配信だからこそできることって結構あります。例えば、やや実験的な選曲してみる、とか、オンライン特有のシステムを使って遠くの人を呼んだりもできます。

DJさんをいつもと違う角度から見たり、配信だからできるDJ/VJ表現があったり、文字情報を使って曲を紹介したり、文字情報を使ってコミュニケーションをとったり。(例として構文やスタンプ等)

なので、まあ配信は配信でできることが多いということなので、ちゃんと頭の中で違う文化なんだな、と分けたほうがいいです。

私はどっちも好きだし両方やると互いに影響を及ぼしあえるので私としてはほそぼそですが配信側の文化は続けていきたいと思っています。

少なくとも、配信できる環境があって禍下で始めてみた、という人はやめてしまうのはもったいないと思ってます。

2.実際の現場からの配信(有観客)は家からの配信とは性質が違うということ。

意外と気づかれにくいのですが、現場有観客のイベントの配信というものは、家からの配信と性質を異にします。

まず一つ目がファン層です。そのイベントのファンでかつ地理的にも会場にいけるのであれば、そのイベントのファンは会場にも行きます。なので、現場と配信に人が分散することになります。

二つ目がターゲットです。配信であれば通常画面の前のお客さんに対し行われますが、現場だったら現場側に目線が向きます。となると、文字情報でのやりとりが行われる配信と違ってフィジカルな高まりが表現として行われる曲(つまりオタ芸曲、みんなが歌える曲、飛びポや振り付けのある曲etc...)クラブ音響で聴いてほしい曲が文化として多く使われる傾向にあります。どちらがいいかというのは置いといて、有観客現場と配信では選曲はちょっと変わってくるところがある人は多いはずです。

実際は現場からの配信はもちろん現場に行けない人がイベントの雰囲気を味わうこともできるのですが、お客さんの様子や音響に関しては現場が基準となるのでイベントのすべてを味わえるわけではありません。

となると、現場有観客での配信というのはイベントを切り取る窓プロモーションとしての役割を持つことになります。

前この疑問は投げかけたことがあるのですが、Mogra、エンタス、Guildなどではかなりのイベントを配信併用で行っています。

↓Mogra

配信のほとんどは無料で楽しむことができ、DJのプレイをほぼリアルタイムで楽しめるのですが、その一方入場料を払ってその場にいたいという人も多く、人気公演は満員となるわけです。それだけの魅力がやはり現場にはあるわけです。

その逆もあり、この配信を見てMogra等の会場に行ってみたい!とか○○というイベント行ってみたい!という人も多く、Twitch配信自体がプロモーションとしても機能しているわけです。

また、レギュレーションを見ても自分はこのジャンル詳しくなくてわからない・・・といった場合にも配信のアーカイブがあればそれを見るだけで流れる曲のラインナップやDJの雰囲気を感じ取れると思います。

ようは現場の代替とまではいかないものの、一部の「」や「観光地のHP」的な役割として機能するところがあります。

3.配信は現場よりはやや実験的な選曲(とその反応)を試すことができる

例えば家からの配信なんですが、「リスナーのために・・・!」という要素は持っていてもいいのですが、現場よりは布教路線でいいと個人的に思っています。(ここはDJにもよるところです)

現場と違うところとしてよほど「ん?」って思うことがあるか、完全に自分の知らない曲ばかりのエリアになるか、ほかの作業や配信視聴をはじめた、じゃないと見やめることはあんまりないということです。その場にいる限り全員が半強制的に流れた曲を聴くというDJ現場と性質もやや違うと思います。ともかく「選曲が原因で視聴者が減った」いう現象は演者の扱うジャンルが大きく異なる場合か、その前の演者が目玉だったときくらいしかなかったです。

なので現場とは違った選曲で挑むことができますし、それに関する反応もTwitterなりコメントで文字として分析できるので、mix公開だけだとなかなか分からないトレンドという部分についての理解を深める機会にもなります。

現場で前から露骨に人がいなくなると「外したー!」感が強くなってしまうのですが、配信は良くも悪くもそこは目立ちにくくなったり、文字情報での補足を加えることができたり、有識者の反応を見たりして「あの曲か!」「そういう曲あるんだ!」となりやすくなります。

また、現場と配信を行き来してるDJの場合ですが、自分が扱うジャンルのことをリスナーに予習させる目的で配信を使うこともできます。

配信で俺はこのコンテンツが好きです!この曲めっちゃいいので聴いてください!→その配信を聴いた人が聴き始める→現場で流して反応してくれる人が多くなる

という流れも組めます。

情報端末が手元にあるパターンが多いというのもメリットです。その場でそのコンテンツを調べたりTwitterとかで関連ページを貼って飛んでもらったりもできます。(現場でこれやってもいいんですがスマホずっとぽちぽちしてるのももったいないし単純にPCとかの方が調べやすい)

もちろん文字による反応のために時間を割く人や推し曲かかったらTwitterやTwitchコメで高まりを表したい人も多いですが、基本的にお客さんは現場より冷静め、かつ情報端末を使いやすい状態、でTwitterやコメントなどの文字情報を多く活用する、という点が配信の特徴の一部で、そこを理解すると配信をうまく利用できる気はします。

4.現地で会えないコミュニティが形成できる

コロナ禍で移動ができないというのもあるんですが、オタドアはかなり遠隔地のコミュニティが形成されています。

配信を行うときに手を上げてもらい忙しいときには休めるようにしているものの、基本的には地域も年齢も経験もバラバラです。

こうすると何がいいかというと、まあ普通に活動してるだけでは知り得なかったDJさんやリスナーたちとつながることができます。

遠隔地でイベントやってるよ!配信やってるよ!とは言っても、おそらく全員が知らないDJで自分の地域から離れてたら見ないというのが正直なところだと思うのです。

そうなるとファン側もリアルのイベントと近い層になる・・・となるとせっかくインターネットがあるのにもったいなすぎます。

もちろん地理や年齢の近い層やDJ会場での配信も良いのですが、せっかくであれば普段自分のDJを聴かないような層や地理的に遠い人々にもプロモーションしてみると面白くなってくるかと思います。

コミュニティの件ですが少なくともそれたいもオタドアも配信やってなかったらつながらなかった人々でして、今では通話しながら配信してるのもあり結構仲良くなってる感はあります。

私は福島に住んでいるのですが、普通に活動していたら西日本のDJとつながることはなかったでしょうし、その方々のプレイも聞かずに終わっていたかもしれません。下手したら隣県東京ですらそうです。

人との出会いに感謝」とかいうと意識高くなっちゃうのでそういう言葉は使いませんが、広い地域の人々とコミュニケーションを取れるというのはインターネットを通した活動特有な体験の一つだと思います。その地域の情勢とかシーンについても聴くことができるので参考になりますし。(かなり遠くの人でもしかすると会わずに終わってしまう人もいるかもですが・・・)

コロナ禍明けたら鍋かリアイベしたいくらいには濃いつながりができてます。(禍と鍋って字似てるよね)

5.自分のDJを客観的に見れる

さきほども言ったとおり、オタドアは地域も年齢も経験もバラバラ、ちなみに得意分野もバラバラなイベントです。

こうなると10人で2日やるだけでもまあ色んな曲が回収できるし、どの客層に向けてやるかも分散するしで異文化のサラダボウルやらちょっとした仮想フェスやらそんな状態になります。

DJイベントを箱でやったりすると、その土地特有のアンセムが根付いてきたりとか、DJさんのバリューがあって信頼されている、とかその人が信頼のコンテンツオタクだと周りから認知してもらってるアドバンテージもあるんですが、配信ではその要素はやや薄まります。

なので、多様性があるなかで自分が実はどういうジャンルが得意でどういうスタイルのDJなのかを再認識できるかと思います。

果たして、自分の所属しているイベント外でこのジャンルは受けるのか・・・?知っている人がいるのか・・・?知らなくても楽しんでくれるのか・・・?という情報をかなり効率的に整理することができます。

となると他イベントにゲストで出たときの選曲やプレイを行う際にもヒントとなるはずです。

6.シンプルにお客さんの反応込みで演習する回数が増える、度胸がつく

特にオタドアには2019-2020あたりから始めたDJも所属しているのですが、上達がめちゃくちゃ早いです。これは他のVRや配信イベントでも同様でして、やはり配信、VR、現場に限らず本番の緊張感を多く体験している人はシンプルに強いと思います配信を通して他のDJさんのプレイの成分も取り入れられたり、自分の得意分野に気づいたり。もちろん新しい人達だけでなく、現場と配信を行き来してる人やコロナ禍前からDJしていたという人も強くなってきているのを実感しています。

現場と配信ではなかなか緊張感の種類が違いますが、ひとりで家で練習するよりは配信を行ったほうが少なくとも緊張しますし、その緊張感を味方につけられるかどうかはパフォーマンスに直結すると思うので、本番を想定したトレーニングとしても配信はかなり有効かと思います。

7.ステージングや手元、視覚の研究

特に配信だとアーカイブが残ったり録画をしたりすることもあるので、自分のプレイを客観的に振り返る機会にもなります。

ただ単に音楽的な振り返りをするなら現場終わってから再現mixとればある程度できますが、DJ中の自分の動きがどうか、などというのは客観的に見る機会があまりありません。

DJ中の動きが重要かって言ったら重要です。いくらMix技術がうまくても、酒以外の要因で辛そうなDJはお客さんもみてて辛いです。つまらなそうにしてたらつまらないものです。もちろんあんまり動かずにやるのもありなのですが、目線であるとか、手元であるとか、そういうものを客観的に見ることで得られる発見もおそらくあります。

家特有の雰囲気を出すというのもありです。ローカルなおつまみやお酒を出してみたり、フィギュアやグッズを有効に使ってみたり。

もちろんカメラを使わない方も多いんですが、その場合についても視覚で何を伝えるか、は大事だと思っています。私がVJを充てる場合も両イベントとも結構多いんですが、その場合は音楽の色イメージとかを伝えられたら伝えるように努力しています。(ついていけないこともあったりはしますが)

そのときに自分のMIXをVJ付きで見るとたぶん発見はあるはずで、曲の色とか温度とか緩急とかそういう要素を表現しているつもりなので、各自のプレイにフィードバックしていただければ幸いです。

気軽に参戦してもらうためにmix枠があったりするのですが、繰り返しているうちに結構曲の雰囲気をまとめて展開を作れるようになった人も多いので、Mix+VJという形態についても結構発見があると思います。(問題があるとすればアニクラVJ以上に汎用素材VJは不足しており担当する枠数がやや多いこと)

現場ではVJがつくことも多いのですが、自分の体得した視覚イメージでつないでいくとおそらく映像的にもまとまりが出てくると思います。やっぱり視覚を操ると色んな曲が引き立ってくる側面もあるので、そういったタイプのトレーニングの場としても配信はかなり有効です。

興味のある方は自分で録ったmixに自分でVJつけてみるのも有効な経験になるかと思います。

いずれにせよ、ステージング、動き、細かい動作共感覚などの視覚的な情報をどうしていくか哲学するいい機会にはなるはずです。

8.DJやイベントのプロモーションとして

特にアニソンDJ界隈において、DJが足りない!っていう人はもはやいないしイベントのお客さんのほとんどがDJな時代です。

現場でのDJの公募があれば必ず倍率は2倍以上になります。

となると特に新しいDJは見つけてもらいにくくなる、というのはありまして、そのプロモーションその人が入っていくためのコミュニティづくりのためにも配信は手段になり得ます。

ようはどれだけ上手くても見つけてもらわなければもったいないことになります。

公募なんかももちろん手ですが、配信をする→めちゃくちゃいいDJをする→いろんな人に推薦してもらう、的な流れもかなりアリです。

また、新たなイベントを立ち上げる際、予めコミュニティ的なものを引いておいたり、イベントの特色を予め伝えたり、需要を調べておくのは大事かと思います。配信を繰り返してファンを増やし、そのファンが現地に来てくれれば集客数が上がり、イベントコンセプトも伝わりやすくなり、一体感も高まる、とメリットが多い思うのです。(この部分はイベントそのものの性質にもよります)

9.DJ同士で選曲を学び合う機会として動かす

これが一番大きかった収穫です。それたいもオタドアも色んなジャンルの人がおり、配信を繰り返すことにより様々な選曲を学んでおり界隈としてはかなり面白くなっていると思います。

ロックが得意な人がいたり、女子向けのDJができる人がいたり、古き良きアニソンでDJできる人いたり、かわいいアニメが好きな人がいたり、声優が好きな人がいたり、舞台が好きな人がいたり、特撮好きな人いたり、特定のグループのファンだったり、広いジャンルを知っている人がいたり、ボカロやVTuberに詳しい人がいたり、リミックスに詳しい人いたり、何を流すか分からないパンドラボックスみたいなDJをする人がいたり。

少なくとも自分の所属する団体の配信だと結構見るモチベも上がると思うので、配信を通じて他の人の選曲傾向を学習することができます。通話つないでればコメンタリー的にもその曲の話をすることができるので、かなり効率的に選曲を学ぶことができるのです。

DJにおいては、自分が得意なジャンル以外についてもある程度の知識が必要なところがあります。俺は好きな曲やジャンルだけしか使わねえぜ!布教に徹するもスタイルとしてありですが、それをするにも他分野広ジャンルの曲の知識があったほうがいいのは確かです。(例えばアニクラの流れで特撮や声優楽曲流すとかをするためにもアニソンから隣接する分野を伝って自然にそちらに誘導するようなプレイをすることが求められたりします)

もちろん現場でも他の方の選曲やテクニックは学べるのですが、現場だとやっぱり誰かと話に行くとか、音から逃げて休憩する時間を作る、という要素も生じます。上記で述べたとおり、手元に調べるツールがあったり文字情報でいろいろ整理できたり曲への反応の記録がアーカイブやTwitterで残ったりもするので、選曲を学ぶという意味では配信のほうが現場より有利な要素も多々あります。

まとめ

総合して言うと、箱からの有観客イベントに配信をオプションでつけるのは窓としての役割が大きかったり性質が違うのですが、インターネットを通じて配信を行ったりコミュニティを作るということは研究会的な役割を持つと個人的に思っています。

最終的な目標が現場でのリアルイベント開催と思われがちですが、わたしはどちらかとそういうわけではなく配信に参加している人がDJとしていつの間にかうまくなってたり、楽しく過ごせるようなコミュニティが形成できたらすごくいいな、と思っています。

ようは配信に関わったメンバーや見てくれた方がそこで得たことを各イベントに持ち帰ってもらえれば、音楽を掘る(Dig)作業の一助として配信を使っていただければ、一イベントの主催としては幸いです。

おそらくだんだんと情勢が回復するとオンラインでのDJ配信からも正直引いてくる人も多い・・・し100人リスナーがいるタイプの個人配信もだんだん割合が減ってきます。ですが少なくとも私は今のところモチベーションはあるので続けていきたいと思います。

現場しか勝たん!」という言葉もありますが、せっかくやるなら現場も配信も勝ちましょう。

ということで配信やってみての1年間のまとめでした。

おそらくそれたいもオタドアも9月にはまた動こうと思うので引き続きよろしくお願いいたします!

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