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ランク戦で好きな相手と連戦する者たちから教わったこと【GGST】

昔から対人ゲームが好きだった。小学生時代に囲碁を始めてから、ポケモン、遊戯王、シャドバ、スプラトゥーン、スマブラ……と、移り住みながらも、常に何かしらの対人ゲームでは遊んでいた。色々な対人ゲーム村を転々としてきたが、昨年からはギルティギア村に身を置いている。

そんな訳で、格ゲー歴は数ヶ月程度しかないが、対人ゲーム歴はなんだかんだ十数年にわたる。その経験の中で、格ゲーで初めて出会った種類の人達がいる。それは「ランク戦で対戦相手を選ぶ」人達だ。

俺の常識の中では、ランク戦はランダムにマッチングした相手と戦うものだった。ポケモンもシャドバもスプラトゥーンも、ランクマッチに潜ると見知らぬ人とマッチングする。デジタルゲームではない囲碁や遊戯王だって、大会に出場した中でランダムな相手が割り当てられる。次々とランダムに当たる相手に高い勝率を出し続けてこそ「強い」ということだし、それを測るランク戦は必ずランダムマッチでなければならない。そう思っていた。

そんな常識を持っていた俺は、ギルティギアを始めてからも、ランクタワーではランダムマッチ機能を使っている。最初は対戦自動承認もONにしていた。来るもの拒まず。不利キャラ相手だろうが、不毛な同キャラミラーだろうが、初心者狩りだろうが、赤ちゃんだろうが、回線重すぎスマホテザリングマンだろうが、誰と当たっても戦う。誰しもがそういうスタイルで遊んでいると思っていた。しかし、どうやらそういう訳でもないらしい。

悲しき戦闘マシーンのぼく

来るもの拒まず自動承認スタイルだった俺は、最初あまり相手の名前を見ていなかった。しかし、ずっと遊んでいると、特に過疎っていない時間帯でもたびたび連戦が起こっていることに気づく。やがて察する。あぁ、この人、わざわざ俺を選んで再戦しに来てくれてるんだ。たくさん人がいる中から、この俺を。

連戦の動機は様々だろう。実力が拮抗していて熱い試合ができる相手と無限に試合をしたい人。ランクを上げるために勝ちやすいカモを狩り続けたい人。ボコボコに負けた相手から一勝もぎとりたい人。実力では勝ってる相手に噛み合いで負けたから「わからせる」ために再戦する人。

実力も、やりたいことも、考えていることもバラバラだが、その中でも共通していることがある。「画面の向こう側の俺」を意識していることだ。

意識されて嬉しいぼく

そもそもランクタワーにおけるランダムマッチ機能は補助機能だ。UIからして、もっとも想定されている遊び方は、タワー内の対戦台で向かい合って試合を開始する方。そして、これは明らかにゲームセンターの対戦台を模倣している。ギルティギアのランクタワーは、インターネットのデジタル空間に身を置きながら、アナクロなゲーセンタイマンスタイルを踏襲している。

ゲーセンタイマンスタイルを撤廃してランダムマッチ機能だけを実装する方が開発自体は絶対楽なはずだ。なのに、あえてゲーセンタイマンスタイルを残し、さらにそれをデフォルトとしているのは、アークシステムワークスからのメッセージだろう。好きな相手と遊んでええんやで、と。

遊んでほしいアーク君

ランクだけを意識して、顔の見えないランダムな相手とばかり対戦していると、やがて作業のようになっていき、しばしば画面の向こう側にいる相手の存在を忘れてしまう。自分の実力だけと向き合い、勝率という数字だけを見ているとき、そこに「相手」は存在しない。ただベルトコンベアーのように流れてくる顔無しだ。

そんな中で、他ならぬ「俺」を「再戦すべき相手」と定めて勝負を挑んでくる人の存在は、これが対"人"ゲームであることを思い出させてくれた。対戦相手ひとりひとりの存在を、彼らとの出会いを意識させてくれた。ただ勝率を上げるための有象無象の中の一試合ではなく、向き合うべき一試合であることを感じさせてくれた。

最近は対戦自動承認をOFFにするようになり、対戦前に相手の名前を見るようになった。いずれ「こいつとはもう一戦交えなければならん」と思った相手と出会ったら、俺もランダムマッチを切って、そいつが構えている対戦台に行こうと思う。

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