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研究日誌 4

「私はですねー、バンドっていう形はいずれメンバーのいざこざが起きて解散したりなんだりが面倒くさいんで、自分1人だけでやっていこう思うんですよね」

2年ぐらい前に出会ったコーグチレイヤという高校生が己の音楽論・バンド論を話してた時に「何言ってんこいつ...?」と思わなくなかったのは、当時レイヤが作った曲を聴いたこともなかったし、何も発信してなかったくせに「口だけ野郎」みたいなやつで、ファックユーアティテュードを感じざるを得ない部分があった。少なからずあった。

しかし、本当に口だけ野郎なのか、実力があるのに隠しているだけなのか、DTMのスキル、作曲能力のポテンシャルがどのようなものか知りたくなった。DTMをベースに作曲ができる若手SSWは横須賀ではいなかったし、ある時からレイヤに興味が湧いた。

彼の高校卒業後、どういったきっかけ・経緯か詳しいことは忘れてしまったが、何かの折でうちに遊びに来た時、レイヤに「月イチで曲を発信したらどうだい?」と提案し、クオリティーを支えるためにミックス・マスタリングを個人として手伝うことにした。

彼自身、実行できるか不安があったはず。

「やるかやらないか、じゃない。やるかやるか、だろ」

という代々の横須賀の先輩たちから教えられたマインドを、レイヤに(無理矢理)植え付けることに成功し、そこから彼は奮起した。

最初のうちは、西友のBGMみたいな音色のデータが送られてきたり、ノイズがバチバチとスパークしていたり、期限に間に合わなかったり(これは今でもある)、様々トラブルがあったけど、毎月送られてくる曲の質は間違いなく高まっていた。

うちに来る度、彼は「今回の曲はどうですか」とアドバイスを聞いてくる。

この1年レイヤの主な変化は、彼自身の素直な性格も助長して、人にアドバイスを求め、それを自分の創作に取り入れて昇華できる人間力にあると思う。気づいたら何も発信できなかった高校生が、向上心の塊のような作曲家に成長していた。

その過程では「表現者は孤独と闘わなきゃいけない」と言われるように、膨大な時間とエネルギーを費やして、レイヤは自分の音楽に向き合ってたし、その沼に溺れかけたという話も聞いた。

でもそれが正しい。誰かが聴いてくれるかも分からず、世間に必要とされるわけでもない。PCに向かって自分の脳内で鳴っている音を探る作業は孤独との闘いだ。その孤独と向き合って捻り出された曲ほど愛せるものはない。

公開されている曲で、推し曲をいくつかピックアップ。

レーベルとしてもレイヤと一緒に面白いことを企てているのでお楽しみに。

コーグチレイヤ TwitterYoutube

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