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【 IF I FELL 】に見る転調

【 If I Fell 】The Beatles


 
先日、音楽講座で転調について学びました。

ビートルズ・ファンの私としては『転調』と言えばこの曲が真っ先に思い浮かびました。

何故ならビートルズ・ファンの間では転調が話題になった時に真っ先に取り上げられる曲だからです。

この曲が収録されているアルバム『 A Hard Day's Night 』には他に『 And I Love Her 』や『 I'll Be Back 』という転調を用いた曲が有ります。

ですが、例えば転調が話題になった時にどうして『 And I Love Her 』がそんなに話題にならないのかと言えば、間奏に入るタイミングでキーが半音上がるという転調の王道を行く手法を用いていて、100人聴いたら100人が「オッ!変わったな」と気がつく転調だからだと思うのです。

まぁ、ビートルズの凄いところはこうした王道の転調はその後二度とやらない所でもあると思いますけど。

話を『 If I Fell 』に戻します。

この曲はイントロが無くていきなり歌から始まるのですが、ここのAメロのコード進行がとても独特な進行で、音楽理論を身に付けている多くの方を悩ませるコード進行になっている様なのです。

私は「格好良いコード進行だな!」と思う段階で止まっているのですけど😅

Aメロの8小節のコード進行は

E♭m | D | D♭ | B♭m |
E♭m | D | Em | A7 |

Bメロは

D Em | F#m Fdim | Em7 | A7 |~~~

Cメロ
 D9 | D9 | G | Gm | D | A7 | ~~~

曲全体を通してAメロは最初に1度出たきりでその後は出てきません。

多くの人を悩ませる
《 キーは何なのか?問題 》
E♭m から始まっているので E♭m かと思いたくなりますが、違う様です。

最初の4小節のメロディをなぞると D♭のメジャーコードで基本的に収まるのでここのキーは D♭。

5小節目からのメロディをなぞると、8小節目から Bメロ の1小節目のコードの D へ続く『 Em - A7 - D 』がコード進行で良くある Ⅱ - V - l 進行に該当して D のメジャーコードで収まるのでここでのキーは D と半音上がっています。

そして、Bメロは
キー『 D 』の3和音のダイアトニックコード

Ⅰ= D ( トニック )
Ⅱ= Em
Ⅲ= F#m
Ⅳ= G (サブドミナント)
Ⅴ= A(ドミナント)
Ⅵ= Bm
Ⅶ= C#dim
内で収まって?いるのでキーは『 D 』だということになります、と言うかなるそうです。

なのでキーが D♭の中で D のコードが出てくるのは違和感でしかないのですが、弾いてみるとまったく違和感なく自然に溶け込んでいるのがビートルズ・マジック!
それも D7 ではなく敢えて D を選んだのにも半音進行を意識したものなのでしょう。

そして、この歌い出しの8小節の中でも特に特筆すべきコードがこの『 D 』なのだそうです。

2小節目の D は転調する前のキー D♭におけるドミナント代理として使われています。
5〜6小節目でまた同じ E♭m → D の進行でメロディも同じものがくるので、その瞬間 6小節目は2小節目と同じように響きます。

ところが次に来るコードはすでにキーが半音上がった D のサブドミナントに当たる Em。

コードの働きはその一瞬一瞬に決まるだけではなくてメロディの流れ、前後関係の中で後から意味を持って役目を帯びて来るというか未来が過去を決定するタイムトラベラー的な働きをすることもあるのですね。
これも、講座で習ったことがあります。

つまり、この場合は Em が鳴った瞬間に時間を遡って直前の D にキーD のトニック機能が生まれて転調が成立したのでした。
パチパチ👏

つまりキーD♭で始まった曲がいつの間にキーD に転調したのか?というと7、8小節目の Em - A7 の所になるのですね。

そして D♭ から D へ半音転調してそのままエンディングまで行くということになります。

そしてこの転調がBメロへ続きポールのハーモニーと相まって一気に広がりを感じさせてくれるのでした。

それとCメロですが、これは転調しているように聴こえるのですが、転調していないそうです。
これもまたビートルズ・マジックですね🎵

同じ半音転調でもポールの様に大胆な転調と転調しているのかいないのか気が付かない位にサラッと転調させているジョンと各自個性が出ていて面白いですね。

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