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刀ステ禺伝を観劇してきました。※ネタバレ有

がっつりネタバレありの感想なのでご注意下さい。

舞台刀剣乱舞 禺伝「矛盾源氏物語」、観劇してきました。
コロナ禍直前の維伝以来の観劇だったので、とてもワクワクしながら劇場へ。

全員女性キャストという刀ステ史上前代未聞の作品でしたが、流石我らの刀ステ、女性でなければいけない理由がふんだんに盛り込まれていました。

宝塚OGの方々、凄いですね本当に。
舞台上には確かに「刀剣男士」がそこに居ました。
性別の違いなんて全く気にならない程にナチュラルにそこに居ました。
あと山鳥毛役の麻央侑希さんの股下が長すぎて…。
刀剣男士たちが登場した瞬間、1番の衝撃でしたね。

それから舞台演出も今までになくてとても面白かった。
場面の切り替えに、おそらく源氏物語の一節が書かれた垂れ幕をはためかせていたり。
「行間」と「本編」という概念。
歴史上の人物に「設定」を付与することで、物語の登場人物へと塗り替えてしまったり。

特に垂れ幕を使った演出が1番好きだったなあ。
途中、歌仙が「源氏物語」に取り込まれて光源氏になってしまうシーンがあるんですけど、垂れ幕に物理的に呑み込まれてそのまま舞台上から捌けてしまったり。
物語が意志を持って生きているようで、絶妙に気味が悪かったです。
物語に呑み込まれるなんて、文系には最高に似合ってるじゃないの…。

あとさすがは宝塚、舞台上のすべてが圧倒的「美」で、表情をよく見たくて双眼鏡使ったりしたんですけど、眩しすぎて結局よく見えなかったという(笑)

舞台装置とか装飾はいたってシンプルだったのに、キャストの皆様のビジュアルによってとてつもなく煌びやかに見えました。
あと平安時代の雅さってすごいんだね。いつもの刀剣男士たちは浮世離れしてる感じがあるのに、今回の出陣は完全に溶け込んでいたなあ…。


宝塚OGの方々の出演ってことで、なんというか...今まで触れたことがない分少し緊張気味で会場まで足を運んだんですが、思った以上にコミカルなシーンも盛り沢山でめちゃくちゃ笑ってしまい緊張は何処へやら。
ご時世的に声を出さないように堪えたせいで、ちょっと喉やられ気味(笑)

個人的MVPは、小少将の君と南泉くんです。
禺伝は煌びやかな地獄でしたが、あの2人のおかげでめちゃくちゃ明るい地獄でした。

禺伝における歴史改変は、平安時代の人物が源氏物語の登場人物を演じさせられている...という状況なのですが、

・「本編」と「行間」という概念
・「本編」では役に取り憑かれ本来の意識が無くなる
・物語内で登場人物が出演していないときは「行間」にあたる
・「行間」では正気に戻る

という設定があり、小少将の君もその1人。
小少将の君は作者である紫式部の親友だったので、「行間」に入ると完全に役が抜け、色々と刀剣男士のサポートをしてくれます。

そのサポートしてくれるシーンがまた面白くて...。
平安の女性ってすごくお淑やかなイメージがあるんですけど、小少将の君はめちゃくちゃパワフルなんですよね...。

女性たちが本来の人格のときに「源氏物語」のどこが好きかを語らうシーンがあるんです。
紫式部や他の女房たちはどこぞのお嬢様学校のような上品な雰囲気なのに、小少将の君だけは私たちオタクに通ずるかのような熱弁っぷりで...。(笑)
なんなら親友である紫式部すら少し気圧されていて、好きなものを熱弁して引かれた経験のあるオタクとしては笑わずにはいられませんでした。


作中1番の癒し枠は間違いなく南泉くんだったと思います。

1番好きだったシーンは、
光源氏が歯の浮くような台詞を女性に囁くところを刀剣男士が覗くシーン。

南泉くんが客席側の気持ちを全部代弁するかのような鋭いツッコミを入れてくれて、会場中が爆笑に包まれてましたね。笑

他にも山鳥毛に「お頭、頭でも打ったか?」なんて口走っちゃうシーンもあって、南泉くんにどれだけ癒されたか分からない。
殺陣も爪で引っ掻いたり、完全にニャンコで可愛かったぁぁぁ......。

さて、ここからはお話の深いところに触れていこうかな。

物語が進むにつれておったまげました。
始めは、「源氏物語」が現実を侵食していてそれを食い止める物語なのかなと思っていたら、実際はすべて「源氏供養」の中の話。つまりは初めから現実ではなかったという…。
でも結構序盤から言及はされてたんですよね。
光源氏を演じていた名もなき男が、紫式部の地獄行きを阻止するために始めた物語。
それが紫式部の死後か否かでここまで変わってくるとは。

そんで禺伝全体通したテーマに「嘘」「反転」「矛盾」があったんだけど、これらの織り交ぜ方がえぐすぎて。

・平安時代において「嘘」は地獄行きになる程の罪
・「源氏物語」は作り話なので「嘘」にあたる
・よって紫式部は嘘の語り手となり地獄行き

そして禺伝は、源氏物語の熱狂的なファンである名もなき男が、紫式部の地獄行きを阻止するために始めた物語。

名もなき男『ようするに「嘘」を「真実」に「反転」しちゃえば、紫式部様は地獄に行かなくて済むでしょ!?!?だったら俺が光源氏として死んで、その骨を埋めてやる!!!そんで後世で掘り起こされた俺の骨が「源氏物語」が「真実」であったという証拠になるでしょ!?!?(過激派オタクの思想)』

ってことらしいです。恐ろしすぎるわ。
そんな歴史改変ある????

そんな現場に駆り出された刀剣男士たちも、現場に合わせて作られた部隊でした。
目には目を、歯には歯を…みたいなノリで「嘘」には「嘘」をぶつけよう!ということなのかな。時の政府くんえげつない。

・元の主が細川ガラシャの歌仙兼定
・徳川将軍家に代々伝来した大倶利伽羅
・上杉家から黒田家へ渡った姫鶴一文字
・沖田総司の愛刀だった一文字則宗  etc…
(南泉と山鳥毛に関してはあんまり記憶がないごめんなさい)

偽りの逸話を付与された状態で実験的に顕現された刀剣男士で組まれた部隊でした。そのせいなのか、それぞれの台詞や男士たちの関係性にも歪さが出てきていて。

山鳥毛「ああ、嗅ぎ慣れたにおい、血のにおい、戦のにおいだ」(青江の台詞)
姫鶴「敵が何であれ、斬るだけだ」(長谷部の台詞)
則宗「大将首は昔から一番の名誉だ」(小烏丸の台詞)

と、おそらく追加で付与された逸話の影響を受けているような描写が。

それから歌仙と大倶利伽羅の関係性。
禺伝の大倶利伽羅は伊達家に伝来してないので歌仙が「東北の田舎刀」って呼ばないんですよね。関係もギスギスしてる様子が無い。
義伝との対比を感じて、まさしく「反転」だなと。

あと歌仙を演じているのが七海ひろきさんな理由も、ガラシャの逸話を付与された歌仙兼定だからって言われたら納得ですよね。ガラシャ様の面影ありまくりだもん。

他にも、
黒田家に渡ったが故に「上杉家の箪笥の一番上に~」っていう秘蔵っ子エピソードに矛盾が生じた姫鶴は、該当のセリフがまるまる無くなっていたり、

伊達家に渡らなかったが故に「元の主を覚えていない」大倶利伽羅…などなど。

こうした歪さ、言うなれば「嘘」「反転」「矛盾」を表現するための女性キャストだったのかもしれないな…って思うと刀ステくん本当に恐ろしいし凄い。

それから「源氏物語」という題材についてなんですけど、男女の愛憎模様が生々しく描かれている作品だからこその女性キャストだったのかもな…と思っていて。
例えば同じ内容で、刀剣男士や光源氏が男性キャストだった場合、私最後まで観れなかったかもなって思うんですよね。
全員が女性キャストにすることによって生々しさを緩和させていたのかも?

途中歌仙と大倶利伽羅に「設定」が付与されて光源氏になってしまうシーン。
男性キャストのままで歌仙や大倶利伽羅が女に言い寄るシーンをやっていたら、複雑な気持ちを抱えてしまって真っ直ぐ観れないなと。
あれは女性キャストだからこそ安心して見られるシーンでした。

そして、やっぱり出てくる三日月宗近と山姥切国広。
禺伝本丸は今までのステ本丸とは別個体の刀剣たちってことが名言されましたけど、それでも認識されてるくらいステ本丸の2振りは異質なんですね。

禺伝本丸の刀剣たちが嘘の逸話を与えられて顕現しているのは、円環三日月宗近に辿り着くための実験的試みとのこと。
そこまでして解明したいくらい、時の政府にとってもあの三日月宗近は特別な存在なのだなあ...。

それから山姥切国広。
禺伝本丸と演練で関わったことがあり、「あの強い眼差し、彼ならあの三日月まで辿り着くかもしれない(※意訳)」とのこと。
悲伝で三日月に勝利したあとの個体なのかな...。

そうそう、三日月で思い出した。
禺伝の中で時間遡行軍ではない敵が出現するんです。
刀剣男士が「歴史を守る者」ならその敵は「物語を守る者」とのこと。
その敵で1番引っかかるのは全身白一色の姿だということ。
悲伝ラストの三日月宗近、維伝の朧の志士たち、綺伝のガラシャ様などを連想させる見た目なんですよね。

禺伝の「物語を守る者」も、言わば現実では無い場所で存在している者なので「朧」に近い存在なのかな〜なんて思うです。

ってなると、円環三日月宗近も「朧」に近い存在なのでは......???????

ここまで考えて息がヒュッッッッてなったので深く考えることを辞めました。
(維伝以降があまり深く追えてないので把握漏れがありそう...というのも大きい)

全員女性キャストというインパクト大な作品だったので、今までの刀ステとどう違うのかワクワクしながら観劇しましたが...。

良い意味で期待を裏切られました。
今までの刀ステよりしなやかさ艶やかさを強く感じる一方で、物語のギミックはしっかり刀ステでした。

・嘘の逸話を付与した実験的な顕現
・物語を現実にしようとする歴史改変

ここだけでも十分な衝撃ですが、

・実は舞台のOPの歌詞は源氏供養から引用されており、結末を初めから示唆している

という有識者様の考察を見かけたときは、何度目か分からないくらい盛大におったまげました。


...と、まあ、たった一度しか観劇していなくともここまで色々な要素が思い出される強烈な作品でした。

円盤欲しいなあ...。
噛めば噛むほど味が出るスルメ作品だよ...。

暫くは記憶を頼りに色々な考察や妄想をこねくり回して楽しもうと思います。
過去作品も見返したい〜〜〜〜〜!!

2016年の虚伝から始まりもうすぐ7周年なのに、まだまだ新しくなっていく刀ステ、どこまで行くんだ刀ステ。
禺伝でも新しい要素が判明してきたので、また物語がどのように展開していくのか楽しみで仕方がないです。

また何か「ハッ」としたら書き留めて行きます。
それでは!



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