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高血圧の薬物療法を理解しよう

高血圧では生活習慣とともに薬物療法を組み合わせることが一般的です。一方で、なぜ薬物療法が必要なのか?どのような薬物治療があるか?その使い分けは?など疑問点も多いと思います。
この記事ではそういった疑問点を解決すべく薬物療法を詳しく説明したいと思います。


高血圧の原因

高血圧は、生活習慣が原因と考えられる本態性高血圧と、甲状腺や副腎などの病気を起因とする二次性高血圧に分けられます。

二次性高血圧では原因となる病気が解決すれば高血圧が治ることが多いですが、本態性高血圧では原因と考えられる生活習慣の改善を行っても血圧が十分に下がらないことがあります。その様な場合の選択肢となるのが薬物療法です。

本態性(ほんたいせい)高血圧

本態性高血圧とは、原因をひとつに定めることのできない高血圧で、日本人の高血圧症の方の80-90%が本態性高血圧と言われています。遺伝的素因(体質)、食塩の過剰摂取、肥満などさまざまな要因が組み合わさって起こるので、現状が改善されない方はほかの要因を疑ってみる必要があります。中年以降に多くみられ、親が高血圧の場合に起こりやすい傾向があります。薬物療法のみに頼らず、食生活を改善する食事療法や運動療法を組み合わせて生活習慣事態を修正することが予防・治療にきわめて大切です。

二次性高血圧

二次性高血圧とは、①腎臓の働きが悪くなって塩分と水が排出されにくくなる場合、②副腎など内分泌腺の病気によって血圧を上げるホルモンが体のなかに増える場合や、③血管の病気が原因、④ほかの病気のために使っている薬が原因、で起こります。原因を明らかにしてそれを取り除くことができれば、血圧の正常化が期待できます。一般に、二次性高血圧は、本態性高血圧とくらべると若い人に多くみられます。

なぜ血圧を下げる必要があるのか?

血圧が高い状態が続くと、心臓から出た血液が通る血管の壁に負担がかかります。そして血管の壁に負担がかかり続けると、動脈の壁が固くなり(動脈硬化)、心筋梗塞や脳出血など様々な重度の疾患につながります。

よって、症状が出ていない状態でも、血圧が基準値を超えており、主治医の先生が必要と判断した場合に薬物療法が開始されます。

高血圧の主な薬物療法

高血圧で第一選択となるのは、カルシウム拮抗薬(Ca拮抗薬)、アンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)、アンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、利尿薬、β遮断薬(含αβ遮断薬)の5種類です。これらの薬剤はそれぞれ作用機序が異なります。

主要降圧薬の積極的適応

高血圧治療のガイドラインにおいて患者さんの症状に応じて、主要降圧薬の積極的な適応が推奨されています。具体的には以下の左心室肥大、心不全、頻脈などによって各薬剤が推奨されています。

※1少量から開始し, 注意深く漸増する ※2 冠攣縮には注意 JSH2019ガイドライン P77  https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf

一方、これらの積極適応がない場合の高血圧に対しては、最初に投与すべき降圧薬として、Ca拮抗薬、ARB、ACE阻害薬、利尿薬から選択することが推奨されています。

単剤で効果が出ない場合は、患者さんの状況や血圧に応じて薬剤の併用が検討されます。

主要降圧薬の禁忌や慎重投与となる病態

また、各薬剤のこれまでの臨床試験の結果などを踏まえて、患者さんの状況や合併症によって、薬剤を投与すべきでない禁忌や、注意して投与することが必要な慎重投与となる薬剤が定められています。

*1  両側性腎動脈狭窄の場合は原則禁忌 *2 5章 5. 「3) ACE阻害薬」 を参照
JSH2019ガイドライン P77  https://www.jpnsh.jp/data/jsh2019/JSH2019_hp.pdf

終わりに

以上、この記事では高血圧の薬物療法について説明しました。高血圧の薬物療法には様々な作用機序の薬剤があり、患者さんの状態や状況、合併症などに応じて薬剤の選択が異なります。

主治医の先生と相談しながら最適な薬物療法を模索しましょう。

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