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不安定な金融情勢と投資



 3月25日(土)の「モーサテプレミアム」では東大の渡辺努教授とホリコ・キャピタル・マネジメントの堀古英司氏のトーク番組があり、非常に面白かったです。経済学者と実務家は水と油と思いきやかなりかみ合った議論を展開していましたが、その中で物価の専門家の渡辺教授が金利水準のレベルは上がってきてそう簡単に前の世界には戻らないとの趣旨のことを述べられていました。私が1月13日に投稿した「米国の金利水準はどのぐらいでしょうか」との記事で、米国の金利水準については高止まりするのではないかと趣旨を投稿しましたが、金融情勢はその方向で動いていると思います。ただし私は世界情勢の変化でモノの価格が高止まりすると思っていたのですが、現在はサービスの価格が高止まりしているようです。ただどちらにしろ低金利時代の終焉は起きている様です。
 ここのところ、シリコンバレーバンク(SVB)の破綻等金融情勢が不安定化していますが、この金利水準の変化と無関係ではありません。SVBの破綻は報道から推測するに、銀行経営としてはあまりに稚拙と思いますが、おそらく低金利時代の世界にどっぷりとつかっていて、この変化についていけなかったと思います。1980年代に米国で金利が大幅に上昇した時に、銀行の金利変化に対するリスクマネジメントは発展したはずですが、その経験は活かされませんでした。
 また1月30日に「銀行の株価」について投稿しましたが、これは日本の銀行もそれなりに米国債を持っているので損益に影響を受けるのではないかとの趣旨で書きましたが、本丸の米国で深刻な問題が引き起こしてしまいました。金利の上昇による債券価格の下落による影響と短期金利が長期金利より高い逆イールドによる影響と両方の影響を受けています。この二つの要素は今後の金融情勢にもっと問題を引き起こす可能性があります。現在はマーケットもFRBも時期の相違はあるものの、いずれ短期金利の低下により逆イールドが解消されると予想していますが、(それゆえに逆イールドですが)もし全体の金利水準自体が上昇したとすれば、長期金利の上昇による逆イールドの解消といったこともありうるとも思います。
 投資の立場からすれば今慌てて中長期の米国債に投資するよりは、米ドルMMF等の短期金利投資で様子を見るのも合理性があると思われます。私の場合前から持っていた米国株をMMFに切り替えましたが、この為替レベルで円から投資するかどうかは検討する必要があるでしょう。