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「凡凡」first season 2018

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38歳、独身、独居、猫二匹。
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2017年9月の記事一覧

「凡凡」28.屑の骨頂

 39歳、独身、独居、猫二匹。  昔読んだ大好きな作家のエッセイに「だ。という女」というのがあった、それを読んで以降、私は「~だ。」と断言した時や「だ」で句点を打つ度に「だ。という女」になってしまったという罪悪感にさいなまれ、松尾スズキに「だ。という女」と思われてしまう!と勝手に思い、焦燥に駆られるようになってしまった。私も「だ。」にどこかで引っかかっていた「だ。」からモゾモゾ、ソワソワする不吉で不穏な魔の波動のような何かを感じていた。「だ。」と言いきる、傲慢、「だ。」と言

「凡凡」27.ナイトオンザプラネット

 39歳、独身、独居、猫二匹。  高校生の頃「ナイト・オン・ザ・プラネット」のウィノナ・ライダーの煙草の吸い方に憧れた。厄介そうに眼を伏せてZIPPOで煙草に火をつけて、極限まで火種を下にして煙草を吸う、富裕層の嗜好なんかではなく、労働者階級の生活に密着した呼吸のような喫煙。当時の私は煙草が、喫煙こそが、かっこいい大人の必須アイテムだと勝手に信じた。私の中で「大人」というのは、とにかく自由で、でも少しくたびれていて、少し何かに落胆している、ため息のように吐きだす煙草の煙、そ

「凡凡」26.灰色エレジー

 39歳、独身、独居、猫二匹。灰色の朝が気に入らない、灰色の朝は特に「今日はどんな嫌なことがあるんだろう」そんなふうにしか思えない。Jアラートを初めて聞いた前の晩、私は夜中遅くまで寝転がってスマホを起動させてラジオに送る大喜利のネタを考えていたものだから、その日は大喜利ペーパーテストというのを受ける夢を見た、有名な放送作家が並べられた机の間を歩き大喜利ペーパーテストを受ける受験生たちの答案を時折眺めながら巡回していた、私は回答に時間がかかってしまって焦っていた、残りわずかな時