珠玉 苦行映像作品のススメ

筆者には「なんらかの理由で苦痛を伴う映像作品を見ては嘆く」という芸がありまして,ソレを人呼んで苦行と言います.なんでもこうした苦行を重ねることで涅槃に近づくのではないか,という怪しい修行の一環らしいのです.
その苦行の数々も,ふと振り返ると結構な量になってきました.今回は読者の皆さんにもお裾分けしたい,との強い思いを抱き(迷惑),紹介記事を書くことにしました.随時追加更新していく所存です.

男はつらいよ お帰り 寅さん
山田洋次監督・脚本.これはひどい.シリーズを牽引していた主演の渥美清が没した今,どうやって物語を書くか?結論:書けませんでした!というやつ.
回想映像で尺を稼ぎ,寝言を宣い続ける二時間.その実内容は昔の恋人に不倫させてみただけ,という不毛な物語.狭苦しく閉塞感が支配する画面,「もうすぐ90歳にもなろうというお方が想像で書いた14歳の台詞回し」の空恐ろしさにも注目されたい.
劇場公開当時は中高生100円キャンペーンをやってた.
褒めポイント:終盤夕暮れの田んぼ道で停車した車体が,宵闇を映して薄紫に輝く.ここは非常に綺麗.

ダイナー
蜷川実花監督脚本.笑えるタイプの残念作品.ギャグを滑り倒し支離滅裂な展開の数々に,大袈裟すぎる演技としょぼいCGの応酬が土石流の如く押し寄せる.主人公の女の子の主体性のなさ,目に刺さるような内装デザインを監修した横尾忠則(もったいない),どれをとっても笑うしかない.
褒めポイント:窪田正孝だけが奥ゆかしい演技を見せてくれる.

ファブル
岡田准一主演のアクションコメディ(だっけ?).ハリウッドアクション映画のダメなとこを煮詰めたような脱力感がある.無色透明の二時間.カットを割りまくるアクションシーンも,顔芸一点張りのコメディパートもレベルが低い.そして殺陣が出来るはずの岡田准一を黒ずくめの覆面で動かすせいで,「スタントは全部ボディダブルでいいじゃん」が結論になってしまう.今やストーリーを覚えてない.
褒めポイント:ない.

フォロワーズ
蜷川実花監督・脚本のNetflixオリジナルドラマ.すごい.構成・脚本・メッセージ性もズレてる.そしてとにかくダサい.すごい.
褒めポイント:トーキョータワーが映るたびに酒を飲んだら完走までに泥酔できる.

オタクに恋は難しい
福田組のアレ.素人のままラ・ラ・ランドを真似たら事故りますよ,というお手本.冒頭の集団ダンスはカットごとに主人公のスーツの袖が出たり戻ったりする体たらく.踊りとは,歌とは.恋とは.真面目に考えると頭が痛くなる.そして製作陣から誠意を感じない.優に10年は古いオタク文化の書き方,根本的に対話のできないカップルのすれ違い,
褒めポイント:なし

ラスト・デイズ・オブ・アメリカン・クライム
ロッテントマト驚異の0%!と巷でにわかに話題沸騰したNetflixオリジナル映画.見終えて即忘却の彼方へ追いやられる.暴力描写の激しさが全く響かない.何がしたかったのか伝わってこない散らかり様で,主人公が常にムスッとしているのも手伝って感情移入できずに耐え抜く2.5時間.長い.
褒めポイント:なし

おっさんずラブ
ドラマ2シリーズと劇場版長編(映画とは呼ばない)をわざわざ見ておいて言うのもなんですが,出直してきて欲しい.詳しくは該当記事を参照のこと.
褒めポイント:なし

ニノ国
同名の原作ゲームの魅力をぶち壊す,安く上げたアニメ映画.どうにもならない.「その他大勢の何か」に充てられたCGがしょぼくて悪目立ちする,脚本はガッタガタ,アニメーションも無個性.得るものがなかった上に原作ファンが悲しむという,誰のためでもない映画.
褒めポイント:なし

エージェントゾーハン
悪名高きアダムサンドラーの手抜き映画の一つ.サンドラーはSNL出身のコメディ俳優という出世街道を邁進した人なんですが,この頃の主演作で見せる熱意や誠意の欠落ときたら⋯
イスラエルの特殊工作員であるサンドラーがスパイを引退して渡米,美容師になりたがる,というありがち?なお話ですが,手抜きが過ぎて不快な一本.
げに恐ろしきはこれが最低の作品というわけでもない,という事実である.

呪怨 呪いの家
先日ネットフリックスで配信されたばかりのホラードラマ.かの呪怨の元ネタとなった呪いの家を巡る,30分x6話の(観客に嘲笑されるという意味で)笑えるホラー.元の映画からして女性・子供への虐待が物語上必要なんですが,にしたって生きてる人間の悪逆ぶりには目を背けたくなること必至.そのくせ幽霊達は笑かしにくるので,何を楽しんだらいいのかわからない.

未見の殿堂入り
バイバイヴァンプ
いや,もう企画段階の時点でね.誰か止めなさいよ.

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