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肥満治療薬ってどうよ!

先日、毎年6月に行われる高校の同窓会(クラス会)我が高校は3年間
クラスが変わらないので、他校に比べて絆が強い。

そこで、交わされた話題の中に肥満治療薬が市販薬として薬局で購入
できるようになるという話が出ました。話題を振ってきたクラスメイト
は高校時代から体型が変わらず、還暦を過ぎた今でも確かに肥満体では
ありました。

肥満治療薬というのは、原理は簡単で、内臓脂肪減少剤のことです。
普通、人間が食べ物から摂ったアブラ(油・脂)は、小腸から分泌さ
れるリパーゼという脂肪分解酵素によって分解されて、体内に吸収され
ます。

ところが、肥満治療薬のオルリスタットはこのリパーゼの分泌を抑える
ため、アブラが分解されません。結果的に吸収が抑えられて、そのまま
体外に排出されるというメカニズムなのです。

日本でも肥満治療薬が薬局で買えるようになると期待していた人にとって
は待望の薬です。大正製薬の内臓脂肪減少薬「アライ(一般名:オルリス
タット)」は2022年11月28日、厚生労働省の専門家部会によって薬局で
買える要指導医薬品として承認。それを受け、同社は2023年2月に製造
販売承認を取得しました。

ところが、現時点(6月中旬)でもまだ販売のメドは立っていません。
「適正使用に向けた活動」と「安定供給の準備」の2つが送れている原因
になっています。

スウェーデンで実施された試験は、約3300人の肥満の人(BMI30以上。
日本だと25以上で肥満となる)が被験者となり4年間追跡調査をして
います。その結果、生活習慣の改善+偽薬群より2.8キロ多く減量でき
(有意差あり)、糖尿病の発生が31%減少しました。

そもそも医師が処方する医療用医薬品ではなく、薬局で発売する要指導
医薬品になった背景には、セルフメディケーションの広がりがあります。

※セルフメディケーションとは、
WHO(世界保健機関)の定義によると「自分自身の健康に責任を持ち、
軽度な体の不調は自分で手当てすること」を言います。

コロナ禍でセルフメディケーションの重要性はさらに普及したのでは
ないでしょうか?それまでは個人輸入やオンラインの自由診療で抗肥満
薬を入手して、使う人が増えてしまいました。

そのため、医薬品としてきちんと管理したほうがいいということで
「要指導医薬品」として薬局の薬剤師の指導を受けて購入できるように
したのです。

薬を飲めば、簡単に痩せられるという安易な考え方が普及することは
多少、問題があります。また、医師会がこういうセルフメディケーション
の領域に対して前向きではなく、まだ肥満症に対する薬の使い方に対する
コンセンサスが得られていないことも問題として指摘されています。

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