賑やかで慌ただしい朝時間は私たちの人生のハイライトかもしれない
我が家は私、妻、そして5人の子どもたち【長女(17)次女(15)長男(14)三女(8)次男(2)】の家族7人暮らし。賑やかな毎日を送っている。
今日もいつもの朝が始まる。
6時 朝の始まり
起きたての静寂。
身体にまとわりつくひんやりとした空気が好きだ。白湯を一口飲み、40代のカラカラに乾いた身体を潤す。前日、使った山積みの食器を前に深呼吸。
さぁやるぞ。
食器を元の場所へ戻す。家事の基本は整頓だ。
(どれだけスプーン使うねん……)
(いったい何人家族おるねん…… )
心の中でボヤキながらも一つ、一つ食器を丁寧に片付けていく。乱れた箇所は整える。テーブルやキッチンも綺麗な状態にしていくと自然と心も落ち着いてくる。
こうしてカチャカチャしていると奥さんが起きてくる。逆もまた然りで、食器同士が遠慮がちに触れあう音が私のアラームになっている。
昨日の余韻をリセットして私たちの朝が始まる。
6時15分 弁当作り
高校生の娘たち、そして私たちの弁当を作る。
作るといっても奥さんが仕込んだおかずの作り置きに卵焼きを入れたり、ウインナーを焼いたりとちょっとしたものだ。
それでもJKの弁当は気を遣う。娘たちが弁当箱を開け、ほっこりする姿をイメージしながら作る。ウインナーをタコさんにしたり、おかずに目をつけたり、おじさんなりに頑張っている。
「おかずが入らない時はご飯をちょっと押して、おかずを立てるの。するとより立体的に見えて見栄えもよくなるから」
「ウインナーをタコさんにしても、肝心の足元が見えないと努力が伝わらないからね」
「はい……」
私をここまで育て上げた奥さんのアドバイスはいつも実に的確だ。返事は「はい or Yes」。少しずつ成長していると思う。
「ごちそうさまー、弁当美味しかったけど今日は片目とれてたよーん」
娘たちとのこんな会話を楽しみながら、これからも父さんは弁当に命を吹き込んでいきます。
6時30分 ティータイム
弁当に目をつけ終わった頃、洗濯物を畳み終えた奥さんがお茶を入れてくれる。奥さんは紅茶、私はコーヒーで束の間の休息。
早く起きて家事をしてくれている人へお茶を用意するのも私たちの大切な習慣。お茶入れてもらうのって嬉しいし、同じものでも自分で作るより何だか美味しいよね。
そういえば三女が美味しいお茶を入れてくれたこともあった。
その日は2人揃って大寝坊。何とか巻き返そうと奥さんと協力し、2人鬼のような形相で弁当と朝ご飯を作っていた。
両親のただならぬ雰囲気を察したのか……
「私が飲みもの作ってあげる!」
小学校3年生の三女が言うではないか。
嬉しいの極み。
「2人とも紅茶でいいよ。ありがとね」
コーヒーをドリップするのはさすがに難しいだろうと思い、紅茶を入れてもらうことに。
私がご飯。奥さんはおかず。餅つきのようなコンビネーションで10分ほどで弁当と朝ご飯が完成!
ふぅーっ!と一息ついて、娘が入れてくれたテーブル上の紅茶を見て唖然とした。。。
いつも見ている通りに作ってくれたのね。ありがとう。あなたの心と同じくらい綺麗に透き通った紅茶だったよ。
こんな日常も私たちの大切な思い出。
6時45分 朝食
お茶を飲み、一息ついたら次は朝ご飯。早起きの三女を筆頭に7時頃、一斉に子どもたちが起きてくる。
白米をこよなく愛する長女。白米がないと悲しそうな顔をするので毎朝の米チェックは欠かせない。
次女と長男はパン派。次女は甘い系パン。食べ盛りの長男はガツンとおかず系パンが好き。
三女は、味噌オニギリが食べたい!とか、その日のわがままインスピレーションで、手のかかるものをリクエストしてくるから面倒この上ない。
前日の朝食を思い出しながら、それぞれが喜びそうなものを作る。残さず食べて、さっと身支度できりゃ心身共に健康だ。朝食は健康の大切なバロメーター。
そしてみんなの食事が終わる頃、我が家の小さな怪獣、2歳次男が目を覚ます。朝、起きた瞬間から大声で「パンパン!パレル」と激しい主張を繰り返す。(パレル=食べる)
食欲があるのは嬉しいことだが、主張の激しさと正反対に食パンをチマチマと耳だけ食べるのがマイブーム。
「この子ふざけてるんだけど……。やばっ!もうこんな時間!」
一緒にご飯を食べる奥さんが悲鳴をあげている。
リアルパン泥棒よ。次から耳だけにするよ。
そろそろちゃんと白い部分もパレテ(食べて)おくれ。
7時45分 見送り
次男が北海道型や四国型の白パンを完成させている間にみんなの見送り。
「給食の白衣出してないっ!」
「部活のお金!今日まで……」
「着ていくジャージがないっ!」
知らんがなぁ~♪
知らんがなぁ~♫
知らんがなぁ~♬
家を出る直前の中学3年の長男の告白。” 知らんがな合唱隊 ”にバックコーラスをお願いしたくなる。奥さんが深いため息と共に天を仰ぐ。
それでも必ず子どもたちを見送るときは
「いってらっしゃい。気をつけて。楽しんで」
必ず子どもたち一人一人の顔を見て声をかける。奥さんがめちゃんこ大切にしている習慣だ。今日1日無事でありますようにと願いを込めているそうだ。
「いってきまーす」それに応える子どもたち。面倒そうにしていても、こちらをチラリと振り返る横顔は、いくつになっても幼いころの面影が重なる瞬間でキュンとなる。
子どもたちの背中を見送りながら奥さんが呟いた。
「1人、また1人と家を出ていったときに私たちに何が残るんだろうね……」
「一瞬で2人ともボケてしまうかもね……」
「ほんまやで、それな」
笑いながらも、賑やかで慌ただしい日常が私たち夫婦にとってどれだけ貴重な時間なのか思いを巡らす。
毎日、一瞬で過ぎ去っていく。
交わす言葉も多くはない。
それでも私たちがもっとも協力しあい、子どもたちと向きあう事ができる、かけがえのない時間である。
8時10分 出発
「今日は天気いいから保育園きっとお外遊びできるから!ねっ!ねっ!お願い!早く来て!仕事遅刻しちゃうぅ!」
おもちゃを手にしたままの次男を抱いて、奥さんと小走りで家を出て今日もそれぞれ仕事へ向かう。
子どもたちと過ごす朝時間は私たちにとって人生のハイライトなのかもしれない。