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相席トンカツ協奏曲

松のやをご存知だろうか?
牛丼の松屋を運営する松屋フーズのトンカツ専門店である。


「ここのトンカツ美味しいんだよね」仕事仲間に教えてもらったのがきっかけだった。サクサク衣とジューシーで肉厚なロースカツ。そして…

コスパがすごい

先日、出張の朝食に何食べようと考えていたら、近くに松のやがあったので朝10時過ぎから迷いなく店に駆け込んだ。

ランチもまだ始まってないから空いてるだろう。と思っていたら、となり1席ずつ間隔を開け、ほぼすべての席が埋まっていた。

同じように朝カツしたい仲間がこんなにいるなんて…大変なインフレの最中、朝カツでエネルギーを注入し、自らを奮い立たせているのだ。

1席ずつ間隔を開ける暗黙のルールに従い、興奮した心を落ち着かせて対面式のカウンターにそっと座る。

タイマンの対面カウンター

さっそくメニューを見て、また衝撃を受けた。
あ、朝メニューだと……。

490円なり

ワンコインやないか。しかも小鉢までついとる。マックのソーセージエッグマフィンセットと同じくらいの値段か。

午前11時までの限定サービスで、小鉢まで選べてランチよりも豪華ときた。朝からトンカツを食べる罪悪感もあり、小鉢は少しでもヘルシーなイメージの冷奴を選択

コロッケとか小鉢の域、越えとる


オーダーを済ませ、少しすると対面に座っていたヒステリックグラマーのトレーナーを着ていた男性に得朝ロースカツ定食が運ばれてきた。小鉢は納豆だった。

顔が見えない分、手元の動きが非常に気になる。ヒステリック兄さんは、定食が運ばれてきてすぐにカラシを4,5袋ケースから取り出した。

左からドレッシング、ソース、カラシ

そして焼きのりが乗っていた小皿に迷いなく次々とカラシを入れていく。その上からタップリ中濃ソースをかけ、丁寧にソースをマゼマゼ。

「わかる、うんわかる」私もカラシ好きなので、うんうんと心の奥で頷き、ヒス兄さんのサクサク感を逃すまいとする食へのこだわりに好感を覚えた。

一人ニヤニヤしていたら、私にも得朝ロースカツ定食が運ばれてきた。

私もすぐにカラシを4,5袋とり、半分のトンカツに直接カラシを塗り、その上に特製ソースをかけた。カラシの角ばった刺激が好きで、ソースはあえて混ぜず、黄と茶色の鮮やかなコントラストを楽しみたい派だ。

ふとヒス兄さんを見ると、手の動きが止まっていた。カラシ好き同士、何かシンパシーを感じたのかもしれない。いやたまたまか。

甘く深い味わいのニンジンドレッシングをかけてキャベツを半分ほど食べてから、トンカツをいただく。サクッ、ジュワァ〜の後にくる豚肉の甘み。肉厚のトンカツに思わずご飯を食べる量を見失いそうになる。

そういえばトンカツに必死で小鉢の冷奴を食べるのを忘れていた。というか焼きのりもいつ食べればいいんだ?さぁどうしよう?と考えていたらパッと閃いた。

冷ややっこのりをかけて食べようじゃないか。

重ねた焼きノリを両手で何度も丁寧にちぎって50枚ほどに細かくする。それを冷奴の上に、ふぁっさぁーとかける予定だったが、手元が狂い、半分くらいのノリがテーブルに無残に散らかった。


テーブルがまっくろくろすけ

慌ててテーブルに落ちたノリを片付けていると、またもやヒス兄さんの手が止まった。何しとるねん、コイツ…。尋常じゃない量の焼きノリを巻き散らしたので、こう思われて当然かもしれない。

冷奴を食べ終え、残り3つのトンカツをどうやって食べようか思案していたら、ヒス兄さんが、トンカツ2つを残して、突如、納豆を混ぜ始めた。

残りのご飯を納豆で食べる作戦か。。。

混ぜ合わせ、粘りに粘った納豆はご飯の上を通り過ぎ、なんと味噌汁にぶち込まれた。

えっ!?

そして納豆用のネギも躊躇なくぶち込む!

まさかの納豆汁!


次は完全に私の手が止まった。
そして私の疑念は確信に変わった。


ヒス兄さんも私とシンクロしながら朝カツを楽しんでいた。お手上げだぜ。ニヤニヤしながら私もノリの皿にソースとカラシを入れてまぜて食べることにした。

すると、ヒス兄さんも残り2つのトンカツにカラシとソースを直付けして食べ始めた。

もうノーサイドだ。

先に席を立ったヒス兄さんは何事もなかったかのように店を後にした。年は同じ頃だったと思う。

ご飯をより美味しく食べる工夫や人それぞれのこだわりって面白いし奥が深い。これを共有できるとめっちゃ仲良くなれそうだ。

ありがとうヒス兄さん。

+  +  +


こういった記事をnoteに書いてしばらくすると「記事にコメントがありました」とスマホに通知がきた。

知らないアイコン…誰だろう。コメントをいただくのは、ものすごく嬉しい反面、知らない方だとなんとも言えない緊張感がある。

コメントを目にした瞬間、バクっと心臓が鳴った。

嘘やろ……


仕事をしていたが、ぐわんぐわんと松のやでの出来事が頭の中を駆けめぐる。心を落ち着かせて、コメント欄を3回読みかえす。

・カラシとソースのつけ方

・納豆を味噌汁にいれるところ

ここまではいい。

ヒステリックグラマーのトレーナー。色はグレーでセンターにロゴが入ったやつのはずだ。お気に入りだったんだ。。

そして極めつけは、時期と場所まで合致していること。ちなみに記事に地名はどこにも書いていない。そして仙台に松のやは3店舗しかない。

間違いなくヒス兄さん!

小心者の私は、ビビりながら何度もコメントを打ち直し、1時間後にようやく返信した。

勇気をだしてコメントしてみたものの、もう返信がない可能性もある。コメントも独りよがりだったかなと、ネガティブなことばかり頭をよぎる。

通知が来た!ヒス兄さん!

神かよ!

あらためて朝カツの楽しみ方を教えてくれた。
あの時はやりませんでしたが
ってまだまだ奥の手があるのですか?

カツに塩を振ってのりで巻く?


新しい楽しみ方まで教えてくれた。

後日また松のやへ足を運んだ。しかしヒス兄さんの姿は見当たらない。当たり前か。今回は朝じゃなくランチであった為、ロースカツ定食に焼きのりをトッピングしてみた。

水を持ってきてくれた店員のお兄さんに

「塩で食べたいので、塩お願いできませんか」
小さい声で伝えると

「わっかりましたー!塩ですねぇ」大きな声を出し厨房へと消えていった。

そして届いた伯方の塩

キャベツを先に食べ、焼きのりの皿にソースとカラシをたっぷり入れてかき混ぜる。サクサクのトンカツをそっとソースにくぐらせて口へ運ぶ。

サクッ、ジュワ〜、外はカリカリ、中はジューシー。やっぱり旨い。安定感がハンパない。

そして、ヒス兄さんおススメの塩を少々かけ、焼きノリでトンカツを巻いてみた。旨いんかな…
半信半疑で一口食べる。

口へいれると、なんじゃこれ!?

衣のサクサク感と焼きノリのパリパリ感が相まってなんとも言えない歯触り。その後やってくる香ばしいノリの香り、上品な塩味からジュワァ〜と一気に肉の甘さが口の中を駆け巡る。

思わずご飯を口いっぱいに詰め込んだ。

めちゃくちゃうまいよ、ヒス兄さん!

気付いたら隣の銀行員っぽい兄さんたちが、ニヤニヤする私をじぃーっと見ていた。私も塩兄さんと呼ばれているかもしれない。

その後のトンカツも塩ノリでペロッと平らげた。

ヒス兄さんからもらったコメントは、私にとっては突然もらったプレゼントみたいなもの。ありふれた日常がまた非日常になった。

これからもお互いに日常を楽しんで、頑張っていきましょう😁


またいつの日か松のやで会いましょう。

ぜひヒス着用でお願いします。


+  +  +  


こんなレア体験なかなかないので、過去の2つの記事をあわせてリライトさせていただきました。

何回書くねん!とヒス兄さんに怒られそうですが、きっと許してくれると思います。



また美味しい食べ方教えてください。

※松のやのまわしものではありません。

最後までお読みいただきありがとうございました。 いただいたサポートは他のクリエイターさんのサポートと奥さん子どもにあずきバーを買ってあげたいです。