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コロナワクチン副反応の救済認定においての問題点(改訂版)

以前に 同じタイトルの論考 を発表しました。 その論考ではα評価及びブライトン分類レベルの判定の仕方が間違っていました。 今回は、その間違いを修正し、その後の調査で判明した事実を追加して改訂版を作成しました。 なお、改訂版の内容は 一つの論文にまとめて公開 しました。詳細についてはその論文をご覧ください。今回の論考は、その論文の簡易版でもあります。

コロナワクチン副反応は、副反応検討部会疾病・障害認定審査会 とで審議されています。

前者では因果関係について審議され、後者ではワクチンの健康被害救済について審議されます。 後者では、厳密な因果関係が認められなくても、可能性が否定できない場合は、救済認定の対象とするとされています。 そのため、前者で因果関係が認定されなくても、後者では救済認定されることが有り得ます。 したがって、後者の認定数は前者の認定数より多くなることが予想されます。

2023年1月までに公表されたデータを集計しますと、ギラン・バレー症候群(GBS) ではα評価例が21件に対して、救済認定例は7件でした。 急性散在性脳脊髄炎(ADEM)ではα評価例が0件に対して救済認定例は1件でした。 以前の論考ではα評価例を6件としていましたが正しくは0件でした。 また、GBSのα評価例のブライトン分類ではレベル1が19件、レベル2が2件でした。 つまり、α評価されるためにはレベル2以上が必要ということです。

GBSにおいて、予想に反してα評価例が救済認定例より大幅に多くなった理由としては、次の2つが考えられます。

1。救済申請の急増に対して審議が追いついていない。2021年12月の時点で759件の申請のうち審議された事例は55%,2022年6月の時点で2815件のうち33%,2023年1月の時点で5941件のうち28%。

2。救済申請には多大な労力が必要な場合があり申請自体が容易とは言えない。 雑誌記事 では、救済申請までに1年2か月に時間を要した実例が報告されている。

救済認定例を増やすためには、救済認定審査の迅速化と救済申請方法の簡略化が必要と考えられます。 救済申請方法の簡略化の方法の一つは、α評価などの因果関係の評価に使用したデータを、救済認定の審査で流用することです。 因果関係が評価できたデータなのですから、当然救済制度の認定の評価にも使えるはずです。

予防接種健康被害救済制度は、 予防接種法第一五条 に基づく制度です。この法律では次のように記述されています。

第十五条 市町村長は、当該市町村の区域内に居住する間に定期の予防接種等を受けた者が、疾病にかかり、障害の状態となり、又は死亡した場合において、当該疾病、障害又は死亡が当該定期の予防接種等を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、次条及び第十七条に定めるところにより、給付を行う。


法律にはデータの収集方法については記載されていません。 法律に記載されていないことは政令や省令で補足することが可能です。 つまり、内閣や大臣の権限でデータの収集方法を変更することは可能なのです。

具体的には、「救済申請に必要とされる医学的データが、α評価を認定する副反応疑い報告制度において既に収集されているかどうか」を、救済を申請する者が確認できる手続きを新設することです。 既にデータが収集されていることが確認できた場合は、その事実を申請者に伝え、不足しているデータのみを提出させればよいことにします。 そうすれば、申請者の負担は大幅に軽減します。 また、既にα評価されている場合は、原則救済認定することにすれば、審査も迅速化するはずです。

コロナワクチンには、努力義務が適用されているため、厚生労働省にはワクチン接種後の有害事象で苦しむ人々に丁寧に対応する責務があります。この責務には、救済申請のサポートも当然含まれています。救済申請に必要なデータ収集が困難であるため、申請を断念するということは決してあってはならないことです。適切で迅速な救済認定は厚生労働省にとって喫緊の課題と言えます。審議プロセスを合理化して、副反応に苦しむ人々が早急に救済認定されることが望まれます。


【補足】
この論考は2023年1月までに公開されたデータを用いた考察であり、 現時点では救済認定数は当時より大幅に増加しています。


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