コロナ死が激減した7月の「超過死亡」は何が原因か ~人口動態統計の分析~
【まえがき】
本記事は,以前に公開した記事
の続編で,2021年7月の超過死亡の分析を新たに加えたものです.特に,4, 5月の超過死亡に関する記事に,分析方法の詳細を記していますので,先に目を通していただくようお勧めします.
【本記事の概要】
厚労省が発表している人口動態統計に基づいて,2021年7月の超過死亡を2,347人と算出します.また,超過死亡の原因を探るため,「コロナ死」,「医療崩壊による死」,「自殺」,「熱中症」,「ワクチン死」の順に検討します.結論として,7月までのワクチン死者数は1.4万人と推定します.
【7月の超過死亡の算出】
厚労省は9月21日に,今年7月分の人口動態統計速報を公表しました.
下図はその中から引用したもので,今年(赤)の全死者数の推移を,昨年(青)と比べています.
今年7月は112,222人の死者数で,昨年7月の速報値を7,373人上回っています.この増加が確率的変動の範囲か否かを検証するため,2012年(東日本大震災の翌年)から2020年の7月の死亡者数データを,厚労省の「人口動態統計月報(概数)」から入手し,
https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/81-1a.html
2021年のデータと合わせてプロットしました(2012-2020年は月報の概数であるため,基準を揃えるために2021年の速報値は0.991倍してあります.詳細は以前の記事を参照して下さい).
2012-2020年の死者数の増加傾向から求めた2021年の「予測死亡数」は白丸で,「予測の幅(95%信頼区間)」は縦線で示しています.2021年の実際の死者数(赤丸)は,予測の信頼区間を大きく超えていることがわかります.
超過死亡 = 実際の死者数 - 信頼区間の上限値
として定義する「超過死亡」の値は,2,347人と算出されます.以前の記事で示した通り,この方法を用いると,6月までの超過死亡は
1-3月:なし
4月:3,169人
5月:5,628人
6月:4,693人
と求まります.国立感染研に取材した朝日新聞の記事(8月12日付)でも,特に5月の超過死亡は例外的に多いことが指摘されています.
超過死亡は冬場に季節性インフルエンザの影響などで多くなることはあるが、4~5月に多くなることはほとんどないという。
分析結果によると、今年1~5月の超過死亡は全国で5076~2万4300人。5月がとくに多く、東京(61~451人)、大阪(865~1300人)、兵庫(514~834人)など30都道府県が直近5年間で最多規模となった。
https://news.yahoo.co.jp/articles/5a62426088d5bf411ffc1e018c48713809b51317
4, 5, 6月に引き続き,7月も多くの超過死亡が観測されています.この原因について1つずつ検討していきましょう.
【超過死亡の原因の検討】
(1)コロナ死
まず,7月はコロナ死者数が大幅に減少した「谷」に相当する月です.
https://ourworldindata.org/covid-cases?country
「それにも関わらず,多くの超過死亡が観測された」という点が非常に重要です.こちらのサイト
https://www3.nhk.or.jp/news/special/coronavirus/data-all/
のデータから,各月のコロナ死者数の暫定値が求まります(A).1-4月については人口動態統計月報が発表されており,「特殊目的用コード22000」に分類されている死者数が,より正確なコロナ死者数を表します(B).これらをまとめた表です.
7月のコロナ死者数は,2021年に入ってから最も少ないことがわかります.コロナ死者が数倍多かった1, 2月でさえ,超過死亡がゼロであったことを踏まえると,7月の超過死亡2,347人に「コロナ死」は寄与していないと考えることが合理的です.その他にも,「コロナ死が超過死亡に寄与しにくい理由」については,以前の記事で指摘しました.
(2)医療崩壊による死
大阪府と兵庫県では,4, 5月に医療崩壊が起きました.
https://mainichi.jp/articles/20210526/ddm/005/070/046000c
https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/202105/0014373049.shtml
そのため,4, 5月の超過死亡の原因を検討した際には,医療崩壊の寄与を考慮していました.しかし,7月にはそのような事態は起きていません.
(3)自殺
警察庁のWebページ
https://www.npa.go.jp/publications/statistics/safetylife/jisatsu.html
https://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/jisatsu/R03/R02_jisatuno_joukyou.pdf
から自殺者数のデータを入手し,表にまとめました.
7月の自殺者数は,過去5年の値を下回っており,超過死亡には寄与しないことがわかります.
(4)熱中症(暑さの影響)
消防庁の発表によると,2021年7月の熱中症による救急搬送人員は21,372人であり,
https://www.fdma.go.jp/pressrelease/houdou/items/210824_kyuki_1.pdf
2016-2020年7月の「熱中症による救急搬送人員及び死亡者数」は,下表の通りです.
https://www.fdma.go.jp/disaster/heatstroke/items/heatstroke_geppou_2020.pdf
2018年7月は猛暑を記録したため,熱中症による死亡者が例年の数倍となっています.一方,2020年7月は梅雨寒であったため,
https://hanasjoho.com/archives/22540
熱中症死者数は低く抑えられています.熱中症に限らず,夏場の暑さが高齢者の死亡率に影響を与えていることは,2018年の死亡増と2020年の死亡減からも見て取れます.
2021年の救急搬送人員は,2019年と2017年の中間程度で平均的な値であるため,熱中症や暑さが2021年の超過死亡に寄与したとは言えません.
(5)ワクチン死
厚労省資料によると,7月29日までに報告されたワクチン接種後死亡事例は,919件です.
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000816282.pdf
https://www.mhlw.go.jp/content/10601000/000816283.pdf
ただ,厚労省に報告するかは医師の判断に任されているため,「報告数」と「実際の数」は乖離していることが懸念されています.厚労省の第4回医薬品等行政評価・監視委員会において,委員長代理であり薬害研究の第一人者である佐藤嗣道准教授(東京理科大学薬学部)は,「実際の数は報告数の10倍くらい高い可能性」を指摘しています.また,米国では「ワクチンによる死者は,接種後3日以内に限っても45,000人以上」と証言する内部告発者が現れ,この証言に基づく訴訟が起きています.これらについては下の記事に詳しくまとめています.
日本ではワクチン接種は2月17日に開始し,4月から一般接種が始まりました.累計接種数(日本人100人あたり)は下図のように推移しています.
4→5→6月と進むごとに接種数は増加し,6月と7月の接種数は同程度です.以前の分析より,超過死亡から「大阪・兵庫における医療崩壊の寄与(の上限値)」を除いた値は,
4月:2,654人(= 3,168 − 514)
5月:4,105人(= 5,628 − 1,523)
6月:4,693人
です.一方,7月の超過死亡は2,347人であり,本記事の議論から,これには(1)~(4)の要因は寄与していないでしょう.では,これらの超過死亡は何が原因でしょうか?「1-3月は超過死亡がなかった」という点を考慮し,消去法的に推論すると,ワクチン死が主因と考えざるを得ないのではないでしょうか?特に,コロナ陽性者数,コロナ死者数がそれぞれ激減した6, 7月に数千人規模の超過死亡が出たことは,大量のワクチン死が起きている強い証拠と言えます.なぜなら,他の要因が見当たらないからです.
7月の超過死亡が6月に比べて減少した理由としては,次の2つの要素が関わっていると考えます.
① 7月は,気温変動の影響を受けて2012-2020年の死者数推移がバラついたため,2021年の予測幅(信頼区間)が6月に比べて大きくなったこと.
② 6月21日に職域接種が始まり,6→7月にかけて接種者の年齢層が徐々に下がって,死亡率が低下したこと.
【結論】
以上の分析により,7月までのワクチン死者数は,
1.4 万人(~ 2,654 + 4,105 + 4,693 + 2,347 )
であり,報告数の15倍であると推定します.
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