僕の愛するロッカー達4

魔法使いに魅入られた男─マーク・ボラン


”全て書かれたものは豚のように不潔だ!!”と肉体と精神の形而上学者アントナン・アルトーが語るとき、全てあらゆる生きのびてしまった者達も豚のように不潔なのかもしれない。
70年代初期、“グラム・ロック”なるキャッチコピーとあでやかな化粧ルックと共に華々しく売り出されたボウイ、ロキシー、コックニー・レベル・・・・・・等の中にあって、このT・レックスのマーク・ポランがいつも「僕は30歳になる前に血だらけになって死ぬだろう」とまるで原口統三のように自らの死を予言していたというのは興味深い。奇しくもその予言を実証するかのように、マーク・ボランは30歳の誕生日を迎える2週間前の1977年9月16日、愛妻グロリア・ジョーンズの運転するブリティッシュレイランド1275GTをフルスピードで木立に激突させ、二度と帰らぬ人となってしまった。その死因は事故による脳挫傷と出血多量と言われているが、その時既に彼の血管はヘロイン等の薬物でボロボロに破壊されていたという。

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