ティーン・エイジのブルースが聞こえる5

積木くずしの時代

1983年の1年間、マスコミの社会欄を大きくにぎわせた“積木くずし” “戸塚ヨット・スクール”の2つの事件は、今も記憶に新しい。そして今も、この2つの社会現象に対する根本的な解決方法は依然として風の中に舞ったままのようだ。
『積木くずし』というのはみんなも知っている通り、俳優の穂積隆信さん(52歳)が、無断外泊、登校拒否、シンナーに走る15歳の一人娘をもった親の苦悩と、警視庁の相談員の指導のもとに、娘をあえて厳しくつき放し、そうすることによって彼女の自覚を呼び起こし、その結果娘が立ち直っていくまでを赤裸々につづった本で、大ベスト・セラーとなり、その後もテレビ・ドラマや映画にもなって大きな話題を集めたので、本を読んだり映画を観た人も多いだろう。僕も映画を観たけど、主演の渡辺典子がだんだんスケ番ぽくなっていくシーンは、まるでオカルト映画の「キャリー」みたいでなかなか迫力があった。

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