醒めた場所から熱狂的に祈れ5

異端のカリスマ─ジョン・ライドン

カリスマ……辞書をひくと、“別称マナ、未開人の世界観のひとつとされるもの。宇宙に超自然的、神秘的、非人間的な力が存在し、特定の人々、動植物が、これを持つとされる”と出ている。
カリスマ……と言って僕が何の躊躇もなしに名前を挙げることのできるミュージシャンはというと、ドアーズのジム・モリスンを置いて他にはない。彼の場合はヒーローという言葉よりも、やはりカリスマという言葉がピッタリだ。 その異端な行動、虚無的なヴォーカル、ニヒルな風貌とシュールで文学的な詩、そして、何よりも1971年の彼の死そのものが、ジム・モリスンを永遠のロック界のカリスマとしての存在に保っているといえる。
アイドルやスターと言うのは女子供が騒げば誰でもなれる。ヒーローになるにはむくつけき野郎共を黙らせてしまうだけの強烈な存在感が必要となってくる。さらにはカリスマと呼ばれるには単なるヒーローを超えた、何か近寄りがたい神秘性、魔力、異端の匂い、教祖性……とでも呼ぶべきミステリアスな要素が加わらなければならない。そう、カリスマと呼ばれるべきには “謎”の部分が必要なのだ。

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