パンクス達よ、うまくやれ!4

異端のロック・バンド─ジャックス

あれは忘れもしない、中学3年の夜だった。当時一応は高校受験のマネごとをやりながらラジオの深夜放送に夢中になっていた僕は、その夜何とも言えない不思議な曲を耳にした。

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何にも話すことできない……
ボク 寒くなんかない……
君は空を飛んでるんだもの……
ボク 死にたくなんかない……
ちっとも濡れてないもの……
静かだナ……海の底……
静かだナ……何もいない……

こんな夢遊病者の独白のような詩が、呪文のような不気味な声に乗せ、ラジオのスピーカーから流れてきたのだ。エコーをきかせたギターに、くぐもるフルートの音、そして時々ジャズっぽいロールを入れるドラムス……当時ドアーズやジェファーソン・エアブレイン、ピンク・フロイドといった海外のアシッド・ロック〜サイケデリック・ミュージックに夢中になっていた僕には、その曲が日本語で聴く初めてのアシッド・ロック〜サイケデリック・ミュージックに聴こえたのだ。ジャックスの「からっぽの世界』……翌日その曲のメモを手にし、僕がまっ先にレコード屋に飛んで行ったのは言うまでもない。ジャックスの「からっぽの世界」のシングル盤は、タクト・レコードという会社から発売されていた。

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