醒めた場所から熱狂的に祈れ1
ロンドンは燃えている!
7月ももう終わろうとするクソ暑い部屋の中で、さっきから僕は昨日ミスター・PUNKが誕生日のプレゼントにくれた、セックス・ピストルズの3枚目のシングル、「プリティ・ヴェイカント」を狂った様に聴いているのだ。原稿の締め切りを明日に控えているものの一向に書き出す様子はなく、僕は続いてクラッシュのアルバムを取り出し、「ロンドンは燃えている!」に針を落とし缶ビールをあおる。「くそっ!東京も退屈で燃えているぜ!消防車を呼んできな!」と顔をひきつらせて叫んだところ、イテテテテ昨日から下痢気味の腹がまたもや痛み出してきた・・・・・・。クソッタレ!ロンドンのパンクロックは、その名も“ニュー・ウェイヴ”と名を変え、もはやとどまる勢いを知らないかの様だ。「メロディ・メイカー」や「サウンズ」紙は、毎号セックス・ピストルズのジョニー・ロットンやクラッシュの記事を大々的に取り上げているし、セックス・ピストルズのセカンシングル、「ゴッド・セイヴ・ザ・クィーン」は放送禁止にもめげず、遂にチャート1に躍り出た。そしてこのことをさらに決定的にする事実は、「ニューミュージカル・エキスプレス」紙の77年最優秀レコードの中間報告のアルバム部門では、1位、2位をニューヨークのテレビジョン、ラモーンズに譲ってはいるものの、5位、6位にはストラングラーズ、クラッシュ、10位にはジャムがノミネートされており、シングル部門では、セックス・ピストルズの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」が第1位、3位はストラングラーズの「ピーチズ」、4位がクラッシュの「白い暴動」、6位にエルヴィス・コステロ・・・・・・など、パンク系のグループが70%を占めているのには全く驚かされてしまった。おまけに最優秀再発売部門には、何とMC5の『バック・イン・ザ・U・S・A』、イギーとストゥージスの『ロウ・パワー』といった、パンクの元祖とも言えるレコードがそれぞれノミネートされている・・・・・・といった具合だ。
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