僕の愛するロッカー達3

実存のギタリスト─ジミ・ヘンドリックス

ジミ・ヘンドリックス1945年11月27日、ワシントン州シアトルに生まれ、1970年9月18日に死亡するまで、わずか24年間の生涯を稲妻のように駆け抜けた男・・・・彼こそ、エレクトロニクスの魔術師、ギターを持ったフリークアウト、そして60年代ロックの真にラディカルでダイナミックな変革者であったのだ。
ジミ・ヘンドリックスがこの世を去ってからはや10年が過ぎ去ろうとしている。新陳代謝の激しいこのロックシーンにあっては、10年前に存在したアーティストなど過去の遺物と言うことになるのかも知れないが、ジミの場合は違っていた。 いくつもの本が出版され、未発表テープから何枚ものアルバムが出され、映画が公開され、多くのギター・フォロワーを生み続け、ジミ・ヘンドリックスの名は、ロック史の中に深くしっかりと刻み込まれてきた。そして今もなお、彼の名は悲劇と伝説の中で語り継がれているのである。
だが僕は、ジミ・ヘンドリックスを単なるスーパーギタリストあるいは天才ミュージシャンの1人として語ることに興味はないし、多くの”ジミヘンドリックスの後継者”や“第2のジミヘン・・・・・・”というキャッチフレーズで登場してくるミュージシャンを信じないのだ。何故なら僕にとってジミ・ヘンドリックスこそ、その生の実存を通して自らの魂を表現しようとした、真に自由でエキセントリックな音楽家であり、また彼の音楽は “20世紀のブルース”、“サイケデリック・サウンド”、“エレクトロニクスのマジック”・・・・・・と言ったあらゆる形容詞でも表現することのできない、まさしくジミ・ヘンドリックスという人間そのものとして存在しているからなのである。

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