マガジンのカバー画像

欺き欺かれて

12
嘘に関する記事を不定期に追加していきます。嘘を善悪で語るのはナンセンスだと思うの。
運営しているクリエイター

#他人の評価

色づく世界

昔の出来事を一部だけ鮮明に覚えていることがある。当時は流れ行く記憶の1ページにすぎなかったものが、後になって自分にとって大切な何かだったと気づくのだ。そうやって自己を知るのは楽しい。 小学校の体育館で壇上の誰かが作文を読んでいた。弁論大会優勝者のウイニングランだった。視覚障害者に寄り添いたいという今で言うダイバーシティの話で、その中の一文が忘れられない。 「目を閉じると怖くて一歩も足を踏み出せませんでした」 相手の立場になってみるのはいい。しかし、嘘は良くない。ビルの屋