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欺き欺かれて

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嘘に関する記事を不定期に追加していきます。嘘を善悪で語るのはナンセンスだと思うの。
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2024年4月の記事一覧

色づく世界

昔の出来事を一部だけ鮮明に覚えていることがある。当時は流れ行く記憶の1ページにすぎなかったものが、後になって自分にとって大切な何かだったと気づくのだ。そうやって自己を知るのは楽しい。 小学校の体育館で壇上の誰かが作文を読んでいた。弁論大会優勝者のウイニングランだった。視覚障害者に寄り添いたいという今で言うダイバーシティの話で、その中の一文が忘れられない。 「目を閉じると怖くて一歩も足を踏み出せませんでした」 相手の立場になってみるのはいい。しかし、嘘は良くない。ビルの屋

フライドチキン狂想曲

ネット上ではエイプリルフールが企業主体のメジャーなイベントと化している。オフラインとの温度差がこれほど大きい現象も珍しい。仕掛ける企業があまりに多くて僕はもう自分から追いかける気力がなくなってしまった。 そんな中でケンタッキーのニュースを見た。 詰め放題と聞いて駆け付けちゃう人たちが愛おしすぎる。騙されたことは本当に気の毒だと思うし、嘲笑する気持ちはまったくない。ただ、店頭で嘘だと知ったときの表情を想像するとどうしても頬が緩む。 たぶんマクドナルドのビッグマックではこの