ママアスリート
お母さんって偉大。
同じ年のハンドやってた子たちとか、今でもハンドをやってる私のことをすごいってよく言ってくれるけど、
私からしたら、子供産んで育ててるあなたたちのほうがすごい。
他人と家族になり、家庭を作って、子供が産まれて。
自分の時間なんてきっと全然ないだろうに、笑顔で家事や仕事をしてる、お母さんたちのほうが何万倍もすごいって思う。
そんな世の中のお母さんスーパーリスペクトしてる私なのだが、
なんと私のチームメイトにはその両方を追いかけるスーパー母ちゃんがいる。
高木エレナ。
私より、4つも下で代表でも何年か一緒にプレーしたことのある選手。
私が三重バイオレットアイリスにきたときには、もうかわいい天使は産まれていて、いつ復帰しようかということを考えている最中だった。
初めてのチーム全体ミーティング。よく覚えてる。
赤ちゃんの泣き声があるミーティング。
それを微笑ましく見守る監督・コーチ。
かわいい泣き顔、あれもう笑顔になってるじゃんってコロコロした表情の変化に癒される仲間たち。
単純に、純粋に、
あぁこのチームってなんて最高なんだろう。
そう思った。
女性アスリートである以上、恋愛、結婚、出産という女性としての人生と、
身体を酷使し、自分の時間すべてを自分自身の向上のために使うアスリートとしての人生。
その2つで思い悩み、いつかどちらかを選ばなければならない。
そんな風に思っていた。
もちろん、ヨーロッパにいた頃は、赤ちゃんを産んでカムバックする選手はたくさんいて、コートに子供がきたり、試合後に選手の子供が一緒に表彰式にでてるなんて普通にあって、
女性としての自分の人生と、ハンドボーラーとしての人生をしっかり計画立てて両立しているなと感じることは多々あった。
しかし、この日本でそうする選手、それができる選手はそういない。
少し前までは、女は恋愛するとスポーツに集中しなくなって、良い選手でもだめになるから恋愛は禁止したほうがいい。そんなことが言われている時代もあった。
今ももしかしたら言われているのかもしれない。
なんとなく、監督やコーチに恋人の話とかしづらいしね。
でも私はそれは違うと思う。
人生の一部にハンドボールがあるのであって、ハンドボールが人生のすべて、なわけではない。
ハンドボールは自分の人生を輝かしてくれるもののはず。恋愛ももちろん、そう。
恋人がいることは、絶対に力になる。
恋愛をしてダメになるような選手は、力にならないような恋人を選ぶ時点で、きっとそのアスリートは大事なものが見えていない、とも思う。
これはアスリートだけじゃなくすべての女性に言えることだけど。
自立している女性は、自分の恋人に左右されたりせず、自分の道を歩みながら、その道を照らしてくれる人を選ぶんじゃないかな。
お互いに自分を向上させてくれる関係でいれるのが良い恋人なんじゃないかな。
そんな気持ちがあって、私は結婚し、子供を産んで、コートに戻ってこようとするエレナを本当に素晴らしいなと、尊敬の眼差しで見ていた。
彼女のすごいところは、おそらくたくさんの苦労があったり、悩みがあったりしただろうけど、それを見せないこと。
元来の明るい性格で、いろんなことを跳ね飛ばしているように見えた。
想像を絶する覚悟と、折れない心が必要だったと思うけど、ちょっとずつちょっとずつ前に進み、昨年試合に復帰したときの彼女の姿と笑顔が忘れられない。
時を戻すと、実際はどうだったかはよくわからないけど、
結婚し子供を産むって決めたときも、このチームでは初めてのことだったから、周りの反応もいろいろだったと思う。
もしかしたら、いろんなことを言われたり、感じたりしながら、それでもエレナの頑張りを見て、今のチームのウェルカムモードができていったのかもしれない。わかんないけど。
でも先駆者である以上、様々な良し悪しが飛ぶのは容易に想像できる。
それでも、前を向いて、命を授けて、育て、アスリートとしての人生もあきらめない彼女を見ていると、本当に涙が出そうになるくらい勇気をもらえる。
↑絶対こんなこと本人には言わないけど笑
朝は子供が早起きするから一緒に起きて、朝ごはん作って、
保育園に送っていって仕事にいき、
帰ってきて迎えにいって、
また別のところに預けに行って、練習にきて、帰って夜ご飯を作って、寝かせて、家事をして、、、、
それが毎日なんて、本当に想像できないくらい大変だろう。
それでも明るい笑顔を見せてくれてありがとう。
私たちの仲間として、一緒に戦ってくれてありがとう。
今後、日本のスポーツ界で、エレナのようにたくさんの女性が、
女性としての人生をあきらめることなく、
アスリートとしての人生をあきらめることなく、
2つの人生を共に歩んでいけるような女性が増えるように、心から応援したい。
そのためには、チーム、家族の理解とサポートが本当に大切。
そんな理解とサポート体制が進み、輝き続けられる場所が増えますように。。。変えていこう!変わっていこう!!!
石立 真悠子
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