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生と命の違い

生というのは、本来は、天地の
大徳、無限の生成力をいう。
「生生不息」とも言うように、流転しながらも、絶えず新しい生として更改し、発展してゆくということでありますから、ここでは、絶対の死というものは考えられない。
種子によって連続する草木の生の
ごときものであります。ところが、
命の場合はそうではない。命を持つ者は限られている。
生ある者すべて命を持つとは言えないのであります。少なくとも、文字の上から申しますと、草木には生がある。しかし、草木に命があるとは言えないのです。
命というのは、神の命(めい)によって、その存在が認証せられ、また神によってその存在の目的が意味付けられているという意味です。
そして、そのようなものである限り、人は命を、すなわち死を免れることはできない。人は、命(めい)に従わねばならない。いつかは死ななければならないということであります。
                        白川静「文字逍遥」より

生の反対は、死ではなく、
命の反対が、死ということなのか。

動植物には、死がなく、
死は人間のみに与えられたものと
いうことなのか。

「人間としてこの世に生を受けたのであれば、当然、人間が鳥や獣とは違うという理由を知るべきである」

幕末の志士、吉田松陰が、こう喝破したのはこのことを意味するのか。

我が命が、神が人間にのみ与えた
唯一の特権であるとするならば、
この与えられし「命の意味」を
知りたい。

このように願うことは、
至極当然のことに思えるのである。

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