昔、付き合っていた人の話(2)

昨日の続きです。
今なら物理的に距離が離れても、SNSで簡単に繋がれるけれど、これは20年以上前の話。
携帯を持っていない人も少しはいて、SNSはほとんど普及していなかった。

そんな時代だったから、距離ができれば、連絡も徐々になくなるだろうと考えたのだ。

最後の1年くらいは、忘れようと努力しているときに相手から連絡が来て、また引き戻されての繰り返し。
そして、またしばらく連絡が途絶える。
付き合っているのかいないのか、それさえもはっきりしない。
この曖昧な関係に疲れていた。

どうしたらこのループから抜け出せるか。
自分で行動するしかない。
数ヶ月悩んで、わたしが出した結論。
試験に挑戦する。
試験に合格したら、わたしは仕事に生きる。
一生ひとりでも生きていけるように。
ダメだったときのことは考えていなかった。
考えているゆとりがなかったのだ。

試験と言っても、ペーパーテストは一応あるが、常識的な問題ばかり。
あとは、日頃の仕事ぶりが評価の対象となった。
今までも仕事には真摯に取り組んでいたつもりだったが、それまで以上に仕事に打ち込んだ。
仕事に集中すれば、その間は相手のことを忘れられたし、そういう意味でもプラスだった。

そして、わたしは試験に合格した。
努力が認められたことは素直に嬉しかった。
覚悟は決まったし、相手には伝えずに新天地へ旅立つつもりだった。
今思えば卑怯だが、音信不通で自然消滅を狙ったのだ。
自分ではっきり終わらせる勇気がなかったから。
合格発表は旅立ちの2ヶ月前。
相手からの連絡も2ヶ月途絶えていた。

引継ぎ、引っ越しの支度と忙しく過ごしていた、赴任1ヶ月前。
それは突然やって来た。
相手から3ヶ月ぶりに連絡があったのだ。
わたしは混乱した。
なんで今頃連絡をしてくるのか。
せっかく覚悟を決めたわたしの気持ちを掻き乱すようなことをするのか。
怒りなのか悲しみなのかわからない感情のまま、現状を告げた。
試験に合格したこと。
あと1ヶ月で、新天地へ赴任すること。
仕事に生きる決意を固めたから、あなたとはもう終わりにしたいということ。
最後の決意を告げるときには、心がざわついた。

でも、もう後戻りはできない。
相手は、初めてわたしから別れを切り出されたことに戸惑っているようだった。
未練があることを仄めかされた。
そんな相手に、わたしはとどめの一言を告げた。
彼女いるのに、何言ってるの?と。

相手はしばらく黙ったあと、
みゆなが優しいから、甘えてた。
と言ってきた。
最後だし、言いたいことは言って終わりにしたい。
そんな気持ちが沸いてきて
甘えてたんじゃなくて、利用してたんでしょ?
と突き放した。

そのあとのやり取りは、よく覚えていない。
でも、最後には別れることに同意してくれて、お互いに元気で、と伝えた気がする。

自分で決めたこととはいえ、心の負担はかなりのものだった。

そのせいか、赴任2週間前に、大変な事態が起こってしまったのだ。

明日、続きを書きます。思い出す作業って、結構疲れるし、しんどいですね。


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