広東語は難しい。

広東語の勉強を始めた。

ひょんな事から知り合いになった香港人が、日本語がベラベラでやり取りしてるうちに、
「あっちにばかり負担かけてるなあ…」と負い目に思い始めたからだ。

香港人と毎日話すようになって思い知ることは、香港人の底知れない智力とパワーだ。

家庭では母語である広東語を話し、小学校から中国語を学び、大学教育は全て英語。

生まれながらにしてトリリンガルになる運命を背負った彼らは、息をするように越境する。

日本語だけに浸かり、中国語だけでひいひい言ってる私とは大違いだ。

が、香港人はそんな風に三つの言葉を持ちながら、こと広東語に対する執着は群を抜いて強い。

自分たちの言葉として絶対に守り切ってやる、という気概と覚悟を感じる。

香港人と知り合ってからは香港に対する興味が日に日に大きくなって、彼らが死んでも守りたい広東語に対する興味も増すばかり。

香港人にしつこく勧められたこともあって、私は半分流されて、半分興味で広東語の勉強を始めた。

毎日毎日香港人がテストしてくるから、戦々恐々としてやってるのだが、これがとにかく難しい。

何が難しいかというと発音である。

中国語でも苦労したのだが、中国語には4声がある。
しかし、広東語になるとこれが9個に増えるのだ。

そして、中国語と同じ文字でも全く違う発音をすることもザラである。

そして、単語や文法も中国語とは全く違うものも多くて、頭の中がぐるぐるしてくる。

香港人は優しいから私に一つ一つ丁寧に教えてくれるけど、いくらゆっくり発音してくれても、その音がどっからどういう風に出てるのか全く理解できてないし覚えていないからあまり役に立たない。

そこで、梅田まで行って高い教科書を買った。

とにかく、CDを聞いて発音の練習をしていると、中国語の勉強を始めたばかりの頃を思い出す。

あんなに難しかった発音も今ではなんとか操れるようになってるから、きっとこの不毛な発音練習にも終わりはあるのだとわかる。

それにしても広東語は難しい。

しかし、今日も今日とてスパルタ香港人に鍛えられながら私の広東語学習は続いているのである。