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世田谷総合研究所 レポート№3

“使い分け”と“分散”のスーパーマーケット情勢

世界の覇権をアメリカと中国が争っているのと同じように、世田谷ではサミットとオオゼキが覇権争いを繰り広げています。もちろん、先進国首脳会議と相撲の番付の件ではありません。スーパーマーケットの件です。

世田谷の地図情報でスーパーマーケットを検索すると、サミットとオオゼキがやたらと目に付きます。その店舗数の多さは、例えば駅を挟んで南北にオオゼキが店舗を構えているとか、サミット砧店から少し頑張れば歩いて行ける距離にサミット砧環八通り店があるとか。
つまり、自社競合は意に介せずの店舗展開なので、他社との競合はまさに“ガチンコでやってやる”的な臨戦態勢にあると分析できます。

しかし、この覇権争いは、アメリカと中国のつばぜり合いの先が予測できないように、両スーパーの勝負の行方もまったく見えません。

ただし両店の違いは、売り場の雰囲気や店舗展開に明らかに表れています。
例えばオオゼキであれば、その店内は狭めな通路に派手めのPOPに飾られた商品が積み上がる“ドン・キホーテ”的な雰囲気。一方のサミットは、ゆったりとした通路に整然とした売り場が広がる”成城石井“チックな趣。さらにサミットのほとんどの店舗が駐車場を完備しているのに対し、オオゼキは駐車場付きの店舗が少ない。両店は、戦略的に客層の絞り込みを図っていると分析できます。

お客側からしてみると、徒歩や自転車で通うオオゼキでは、大きくかさばるものや重たい荷物となるような買物はしたくない。自ずと生鮮品を中心とした品選びになります。

片やサミットは、店舗を2~3階建ての建物として、1階以外のフロアには、家電量販店やドラッグストア、衣料品店などの他業種店舗を展開し、軽くモール化しているような。食料品と併せてアレもコレもと買物をするのなら、やはり車が便利ですね。

互いの戦略があるにしろ、両店の品揃えや値段に劇的な差はありません。両店とも熱心なファンはいるのでしょうが、多くは生活動線や買物目的に合わせて使い分けているはず。さらに新型コロナ禍によって、サミットとオオゼキともにポイント倍増日が中止となり、特定の曜日に買物をする必要もなく、使い分けに“分散”が加わりました。

両店が覇権の奪取を窺っているとしても、世田谷区民は、サミットとオオゼキのどちらか一方に覇権を握らせることなく、“使い分け”と“分散”によってあやうい均衡をコントロールし続けるはずです。その理由は、均衡から競争が生まれることによって、数多くのメリットがもたらされるから。

事実、覇権の確立は、強大な権力を生み出すだけで、生活者には恩恵が及びません。それは世界情勢にも共通している、と分析できます。国同士の均衡をコントロールするのは、政治や外交、軍事力ではなく、草の根の国民なのだと。

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