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世田谷総合研究所 レポート№4

不動産の常識を覆す、世田谷人

世田谷には私鉄3鉄道が走り、41の鉄道駅があるらしい。その駅数は、23区内ではトップクラスの多さらしい。「では駅を中心に街が機能しているのね」と言われると疑問符が浮かんできます。

疑問となるのは、駅から離れても離れても、ひたすら住宅街が広がっていること。
例えば、高級住宅街として名高い“深沢”アドレスや“岡本”アドレスに暮らす方は、いったいどの駅が最寄りなのでしょうか。最寄り駅まで歩いて何分かかるのだろう。
もちろん、お屋敷街の住人は、お抱え運転手付きの自家用車が生活の足なので公共交通機関を利用する必要がない、という推察もあるのでしょうが…
駅から遠いだけではなく、世田谷の高級住宅街にはスーパーマーケットのような生活施設が見当たりません。見渡す限り、お屋敷ばかり。

不動産の常識からすると、“住みたい家”の立地条件は「駅徒歩5分圏立地」で、「駅徒歩10分圏」でギリらしい。そう言えば、駅から15分ほど歩くと家屋がまばらになる、という街はたくさんありますよね。

ではなぜ世田谷の駅遠に住むのか?
世田谷でのなかでも人気の高い高級住宅街「成城」を例に分析すると、答えが導き出せるのでは。
成城は、成城学園を創設するために(誘致するために?)、小田急線「成城学園前」駅が新設されたことに始まります。学園の創設とともに、新設駅を中心に、大規模な宅地開発・分譲が実行されました。その分譲地が瞬く間に高級住宅街に成長。駅周辺エリアから始まった宅地開発が、現在では“成城9丁目”まで広がっています。当然ですが、丁目を追うごとに駅から離れていきます。成城9丁目まで歩くと、確実に15分以上はかかります。

駅まで歩けなくとも、徒歩圏に商業施設がなくとも、成城に住みたい!住むのは“成城”アドレスでなければならぬ!と希望する人が後を絶たず、成城の街は拡大を遂げた、と分析できます。

成城の例から解釈すると、駅遠に住む人ほど、世田谷“愛”が強いと結論づけられます。
“愛”さえあれば、多少の不便を強いられたとしても世田谷に住む!駅近よりもアドレスにこだわる!結果、世田谷にくまなく住宅街が広がる!
さらに言えば、テレワーク・リモートワークが浸透すると、駅近にこだわる必要がなくなる ⇒やっと時代が世田谷“愛”に追い付いてきた、とも分析できます。

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