見出し画像

世田谷総合研究所 レポート№10

世田谷の公園でコロナ禍の覚悟を問う。

前回の都市農地に引き続き、“世田谷は住宅だけではない”シリーズです。
住宅と都市農地に負けず劣らず世田谷には「公園」がたくさんあります。例によって23区内ランキングでみると、その公園数は練馬区に次いで第2位の多さ(567カ所)!です。※参考資料:東京都建設局・公園調書(令和2年4月1日現在)都市農地と同じく公園数も練馬区を超えることはできません。

そんな世田谷を代表する公園は、やはり「駒沢オリンピック公園」と「砧公園」です。
晴れ渡った週末ともなると人出で賑わい、駐車場の入口付近には空車待ちの車が列をなします。
駒沢オリンピック公園を貫く駒沢通りは、週末になると片側2車線のうち1車線は路上駐車の車で完全に塞がっています。でも不思議と、駐禁取締りや交通規制などを見たことはありません。
青空駐車に象徴されるように、駒沢オリンピック公園は全体的に緩くて大らかなのです。

一方、砧公園は、利用する前にリサーチが必要です。
例えば、サイクリングコースは安全のために一方通行。家族で遊ぶのに最適なファミリーパーク内は、ペット、自転車、テーブル、椅子、テントの持ち込みが禁止です。

私が初めて砧公園に行った時は、事前リサーチを怠ったためにサイクリングコースを逆走し、ファミリーパーク内を堂々と犬と散歩してしまいました。

私のようにリサーチすることなく砧公園を訪れる方のために、公園内には多くの警告看板が立てられています。看板に書かれている注意書きも微細にわたります。
例えば、子どもたちに大人気の「みんなのひろば」の看板には、<マフラーなどをくびにまかないでください>や<ひもつきてぶくろをしたままあそばないでください>などの注意書きがあります。

それらの警告看板の注意書きを、保護過剰と捉えるか、日本人の優しさと考えるかは、議論が分かれる点です。

加えて、注意書きは、クレーマーへの対抗策としての機能も重要なのです。
想定できる危険は事前に告知している⇒その告知を無視して危険と遭遇したのであれば⇒それはすべて自己責任である!

ムムム。この警告看板の文脈には思い当たる節があります。11都道府県で発令された第2回の緊急事態宣言に通じています。
大切なのは発令後の対策ではなく、“発令”したという事実です。発令に際しての総理大臣による説得力も拘束力もない会見が功を奏したかのように、昼間の人出はさして変わりません。感染拡大も衰えを見せません。

政府が発令しているのは、国民一人ひとりが自覚しないと新型コロナウイルスを封じ込められない、という宣言!だと仮説付ければ、緊急事態宣言下のあえての外出や外食は、もはや自己責任!結果、新型コロナウイルスに感染しても政府の責任にしないでね、というエクスキューズと捉えることができます。政府は、「後手!」「無策!」などの批判を単なる難癖だと受け取っているのでは。
確かにロックダウンをできない以上、政府の力でウイルスを封じこめることは難しい。ウイルスに打ち勝つことは、私たち国民の力に委ねられているのです。

今回のレポートは、世田谷の公園の魅力紹介から横道に反れてしまいました。しかし、文脈を辿ることによって、世田谷の公園には現在の日本が抱える問題の縮図があると提言できます。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?