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6、故郷の宮廷で…



いよいよ旅も終盤に近づいてきました。





パリで舞踏会を楽しみ、ソルボンヌの大学で物理と自然科学を学んでいたフェルセンは、1774年5月12日にパリを離れてロンドンへ向かいました。

そして同年12月にはスウェーデンに帰国します。実に4年もの間故郷を離れていました。彼は19歳になっており、「グランドツアー」を無事に修了しました。


その後フェルセンはグスタフ3世の宮廷で時を過ごします。城の衛兵隊長として勤務することが多く、その間は宮廷生活にも参加します。


宮廷の貴族たちは、演劇を愛し時には自ら戯曲を書いていたグスタフ3世の命令で劇に参加させられることがありました。

フェルセンももちろんそのうちの一人です。
サン=ジェルマンの市場』という劇では『珍獣使い』の役を演じました。また他の劇では『魔法使い』となり、様々な役柄を演じたようです。



またグスタフ3世は中世のトーナメントを模倣した「模擬戦」まで行い、それにはフェルセン父子も「参戦」しました。
重い鎧を身につけて行動しなければならず、フェルセンは不快だったと書いています。
このようにしてグスタフ3世は宮廷人たちに騎士道精神を育ませました。


この宮廷内でフェルセンは、セーデルマンランド公爵夫人ヘドウィグ・エリザベト・シャルロッタと関係を持ち、最終的に情事に至ります。
しかしその関係は長くは続きませんでした。



ちなみに、フェルセンが妹のソフィーとより親しくなったのはこのスウェーデンにいた時期だったようです。


こうしてフェルセンは故郷で4年間過ごします。
実は彼はスウェーデンを離れたいと思っていました。
活動的な生活を送り、将校として出世し、閉鎖的な空間から抜け出すことを望んでいたのです。

ちょうどその時、父に結婚をすすめられます。
あまり乗り気ではありませんでしたが、父を満足させるためにフェルセンはそれに従い、結婚相手と会うべく再びロンドンへ旅立つのでした。
1778年4月16日のことです。



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